LEM / CINEMA dub MONKS SESSIONS'S featuring 芳垣安洋

MANDA-LA2というか、吉祥寺は行動範囲外なので、今夜のライブに興味はありながらも足を向けるのは踏ん切りがつきにくかった。だけど、昨夜のライブの印象を消すには、面白いライブを見るしかないと思った。という理由を見つけてMANDA-LA2。ここに足を向けるのは今夜で2回目。雨の振る中、且つ、決してわかりやすくは無い場所だけど、方向感覚だけは悪くないオレ。



1stはCINEMA dub MONKSの演奏。芳垣安洋とのセッションで演奏を目にした、色々と楽器を扱う曽我大穂と、ジャズな音色が持ち味のベースのガンジー西垣。そして、紹介は無かったけれど映像担当の石川徹

セッションで見た曽我は、手持ちを変えながら多弁に音を奏でる奏者という印象。だけどCdMというバンドが映像を投射する事も含めたものであるからか、照明の落ちた場に沿った様なストイックな音。

ガンジーのベースはミニマルにフレーズを繰り返す。時々それが少し変化をしたりするけれど、印象としてはそうなる。ベースの音色がキモになる。

このユニットの重要な要素でもある映像は、動画ではなく静止画。それも、CGなんかではなくて写真のスライド。何枚もの画が出てくることもない。それをアナログに投影者が揺らしたり、手をかざしてみたりして、緩いエフェクトを施す。

芳垣が加わった2曲目3曲目は、当然の様に彩が増える。当たり前の様にCdMの音として芳垣の音が扱われる。

全体として音楽はSEの様で、時間の進み方は捕らえどころがなくなる。フラッシュバックは無いけれど、何かが刻まれるような印象。

このバンドが沖縄という場所から生まれた事が不思議な気持ちがオレにはあるのだけど、だけど、無国籍と多国籍が同居した感覚はあの場所らしいとも思える。



2ndはLEMというユニット。チューバとエレクトロニクスのGideon Jucks、トランペットとエフェクト類の辰巳光英、ドラムと色々の芳垣安洋

辰巳という人は全く知らない名前だったのだけど、この人のトランペットは電化されているので、ここで当然、しつこく、またしてもエレ期のMilesを思う。だけど少々音の鳴りがしつこい時は、近藤等則の様な猥雑さもある。

チューバという楽器を他では知らないのでなんともあれだけど、Jucksの力量はやはり凄いのではないかと。多少エコーを使った場面もあったけれど、ロングトーンはドローン並みの効果になり、辰巳の音と重なり合う時は、エレクトロニカなんかのそれよりも音自体に魅力があって、惚けてしまう。

Jucksがベースを受け持つ時は、芳垣はビートであっても上モノになり、この浮遊感は独特で、ちょっと病み付きになりそうな感覚。



足を伸ばしてみた甲斐が有りまくりな夜。だった。




ライブを見ていた時以外の時間は、当然の様に『Live at Shea Stadium』を聴いていた。レゲエの要素があるとはいえ、やはりClashはストレートなロックだと思う。50分ほどの時間をあっという間にしてしまう音の密度に、このバンドが現存しない事を思うより、この音を知る事が出来て良かったと思う方が強くなってきた。