Satoko Fujii Four

今日の仕事中、たまたま支店の人とメッセンジャーを使って余計な話をしていた時、忘年会がどうのこうのと書いてきて、それを見て今日、自分がいる職場も忘年会がある事を思い出す。それも結構大きなくくりでやるので、全員集まると50人ぐらいになる。なので、1ヶ月ほど前に参加意思の問い合わせがあるのだけど、女性はほぼ不参加。男性も7割は不参加。オレも当然不参加。こういうの、地方の人たちから見るとありえない話らしいけど、この辺のコミュニケーションの欠如はオレは望ましい。飲みたくないやつと飲んでもつまらないし、時間の無駄。それに今夜はピットインでSatoko Fujii Fourのライブ。忘年会の様なくだらないものは、個人的に今夜のライブがオレにとってのそれとして置き換え。というかここ数年、忘年会の時はいつもピットインに居る気がする・・・。



が。



かなりショッキングなお知らせ。Mark Dresserが近親者の不幸により急遽帰国し、今夜のライブは当初のメンバーから変更して、代打でギターのKelly Churkoが参加。Churkoは藤井さんの現東京オケのメンバーで、ギターが加わったのは面白そうだと思って、今度はそのライブも見てみようかと思っていたところ。なので文句はない。場所がピットインならば、田村夏樹と藤井さんのデュオでも、或いはソロのライブでもオレは見に行っている。だけど、Dresserの音が聴けるという期待は大きかったわけで、ここに失望しないわけはない。CandyではDresser入りだったというのもなんとも・・・。



気を取り直して。Atomic後のジャズのライブという意味で、このライブが個人的な注目だった。藤井さんのライブでCDでしか知らなかった吉田達也の演奏を聴き、筝という楽器の持つイメージのせいで侮っていた八木美知依さんの演奏を知り、外山明の面白さがわかった。オレにとっては藤井さんのライブから色々広がった。発火点。その藤井さんのレギュラーユニットのトリオが田村を加えてFourに変化して、そのリズム隊がDresserとJim Blackなわけで、そのライブが2年ぶりなわけで、、、。



全然取り直していないな。でも、ライブ前はこういう気分だった。



前置き長すぎ。



1st2ndともに1時間ほどの演奏。1stは曲の切れ目なく演奏し、2ndは3つの演奏に分かれていた。



どうしようかと思ったけど、やはりこの人から。Jim Black。今まで生音を聴いたのは1回。それも2年前のSatoko Fujii Fourだった。藤井さんのバンドでのBlack、自身名義でのWinter & WinterからリリースされたBlack、それ以外にもいくつか録音物でBlackの音は聴いていた。2年前に生音も聴いた。だけどその頃と今のオレは、ドラムの聴き方が異なっている。芳垣安洋の音をなるべく追って、Paal Nissen-Loveを聴けるだけ聴いて、外山明の特異性を感じて、大分変わったと思う。何度も言うけれど、ドラムはどの楽器よりも録音物では伝わらない。最もプリミティブなこの楽器は、そのプライドから、「録音なんかに収まってたまるか、このボケ、カス、タニシ!!」ってな態度。だからライブで音を聴き取るしかない。そういう事をこの2年間の間に感じた。戻るけれど、例えばW&WのBlackの作品は、結局曲を聴いている。ロックを感じる作品だったりするのだけど、なんとなくNirvanaのDave Grohlの様な印象すらある。だけど今夜の音は違う。外山の様なずれた叩きを持っている。アプローチは音を置きに行くようであり、パーカッシヴであり、そいうところも外山との共通項を感じる。だけどそこにジャストなタイミングの複雑とは違うパターンの叩きを持ち込み、間が開き、自在に音が動く。人によってはインパクトを感じないタイプかもしれない。だけど確実に個があって面白い。次に何をするのかが終始気になった。



カルテットの唯一の管楽器の田村は、普通中央に陣取りそうなものを何故か右端に立つ。すっとぼけたような佇まいで、そのイメージの音を出しながら音の間を貫く一閃もあり、相変わらず相変わらず相変わらず、自由度高い。なんとなく、Don Cherryに近いのは田村の方じゃないか?と、今思った。



Dresserの代打Churko。多分そうなのだろうと思っていたけど、やはり現在は日本を拠点に活動しているらしい。だけど音は全く知らない。勿論フリーな音を使うだろうという予想ぐらいはあったけれど、この男、引っ掻くようにギターを弾くアプローチ持ち。ポジション的にベースのパートを受け持ったりもしたけれど、自由も結構あったはず。コードのバッキングも風変わりな音でよかったし、テーマを受けてのソロもジャズ的に進行してみたり、器用。というか多彩。来年はChurko主導のライブも見てみたくなった。



藤井さんは、ソロの時は結構ドシャメシャな音を使う。これ、オレ的にはあまり好みじゃない音になるのだけど、他のドシャメシャドシャメシャドシャメシャと弾きまくるピアニストと違って、藤井さんはドシャメシャだけで終わる。ギリギリ。この加減がセンス。自分の曲を活かす手段を間違えない。



結局Dresserの不在を忘れていた・・・。勿論、Dresserの音は今でも聴きたい。だけど、今夜の演奏を聴いている間はその事を忘れていた。真面目な話、Blackを日本人のドラム(出来れば外山)に置き換えて、新しいバンドを立ち上げると面白いと思う。

Dresserを聴ける次の機会を出来るだけ早めにお願いしたい。また2年待ちじゃなくて、来年とか、なんとかならんものか。



もう少し集客があっても良かったと思うのだけど、まあ、こんなもんなのかも。MurrayとかAtomicは見るけど、SF4は見ないという人が結構いるんだな。オレの感覚からすると変な感じなのだけど、こういうものなのだろう。

だけどよく考えてみると、このライブのフライヤーの印象が無い。あったのかも知れないけれど、MurrayやAtomicがなんども同じフライヤーを見る事になった事を思い出すと、今夜のライブのフライヤーの印象は無い。もしかして、ネット上とピットインのプログラムだけしか情報が無くて、この集客だったとすると、実はなかなかの成果なのかも。