Sergey Letov Session

旧ソ連時代から続く、ロシアのアヴァンギャルなシーンのミュージシャンらしいSergey Letovの予備知識はそれだけ。脇の面子がマルチ・リードの梅津和時、ピアノの佐藤允彦、ベースの吉野弘志、パーカッションなドラムの岡部洋一。結構渋い。

本来Letovはマルチ・リード奏者らしいのだけど、色々持ってくると色々あるらしく、今回はテナーサックスのみを持っての来日。今夜のセッティングはMurrayのときと同じく副島輝人氏。



1stは全員揃っての演奏、続いてLetovと梅津のデュオ、さらにLetovと吉田と岡部のトリオという構成。ロシアのアヴァンについて、そういうモノがある事は知っている以外には何も知らないので、一体どういう事になってしまうのか若干ビビッていたのだけど、Letovの音はアヴァン的な仰々しいものではなく、ゆるやかなフリージャズの語り口。周りもそれに合わせて出しゃばらず、悠々と音が奏でられる。この3日間、圧倒的な音を聴いていたモノにとって癒しにも近い感触。フリージャズという表現が余裕ある演奏を聴かせる事に、成熟というより型にはまったものから抜け出た印象。

2nd。飛び入りゲスト。巻上公一。本当に客としてきていたらしい。それなのに声使いとして演奏に参加。そもそもLetovと佐藤のデュオの予定だったところに巻上が加わる。あの千変万化の声とテナーとピアノが絡む。音が華やかに鳴る。そして全員でのセッション。絡み合うよりお互いにソロのスペースを用意したり、色付けをしたり、それぞれの個性を見せながらの演奏。

アンコールではきっちりとした曲。多分ジャズの曲。ここでは、フリーな音はあっても、完全にジャズとしてパッケージされた音。



強烈な音やトンデモなテクを見せ付けられなくても引き込むことの出来る音楽は在って、それが今夜の演奏。