Madlib

Madlibの個人名義の作品というと、Beat Konductaシリーズ(或いは名義)のブレイク・ビーツ集みたいなものか、DJ Mix的な作品のイメージがある。昨年の『Beat Konducta Vol 3-4: Beat Konducta in India』はタイトルどおりインドな音で、ネタとしては面白いけれど、アルバムとして聴くのは結構辛かった。

で、レコファンに置いてあった『WLIB AM: King of the Wigflip』を見つけた時、Madlib The Beat Konductaという名義だったので手に取るのを躊躇したけれど、結局欲しくなるのはわかっていたので仕方なく購入。これはStone Throwからの作品ではなく、BBEのBeat Generationシリーズだった。ヒップホップのプロデューサーによる作品をリリースするライン。まだやってたかと少し驚く。J DillaというかJay Deeの『Weilome 2 Detroit』とPete Rockの『Petestrumentals』はかなり気に入っている。



BGはどちらかといえばインストな作品をリリースする傾向のシリーズだけど、Madlibによる今作はラップや歌入りが多い。今までのMadlib名義の作品がインスト的なものが多かったので、こうなるとこの作品がMadlib名義らしくない様に思えて、そのディティールが面白い。だけど元々デジパックで輸入盤にしては珍しく帯(らしきもの)が付いた装丁だったのに、今回は普通のプラケースでそこはつまらない。

ヒップホップのビートは基本的にはミニマル。1ループの間にどれだけビートを入れ込むか、或いは抜くか、そういう事の試行錯誤。音色や強弱はもちろん、サンプリングのネタ、そのレート、あるいはドラム・マシーンを駆使して、とにかく数多くの連中が数多くの実験を繰り返している。その中で優れたクリエイターと呼ばれるMadlibは、1つのループが出来上がれば、それを引き伸ばさず短いトラックとして平気で並べてくる。この驚異的なビートの発想が、今作も当然の様に詰まりまくり。だけどそれ以外にも、実はベースラインに秀でたものを見つけられる。



ついでに。『Madlib Remixes Vol.2: 1980s Saturday Morning Editionicon』という、過去にアナログでリリースされていたらしい作品も同時期にCD化。一見怪しい感じだったけれど、結局こっちも購入。で、こっちも文句無しにカッコいい。



そして、次のBaet Konductaはいよいよ『Beat Konducta: Vol.5-6: A Tribute to Dilla』。アナログでは既にリリースされているこの作品のCD盤が来年初頭。これはヒップホップのビートが好きな全ての人が心待ちにしている作品(かも知れない)。年が明けるのが楽しみになってきた。









Madlib The Beat Konducta 『WLIB AM: King of the Wigflip』




元々追記にする予定だったものを上げて、急遽高校生の頃の古いネタ。アヴァンチュールな連中には馬鹿にされそうなネタ。



とある同級生はモロにヘヴィメタ・キッズでベーシスト。普通なロックを聴いているオレにある時、強くヘヴィメタを勧めてきた。



同級生「ヘヴィメタがカッコいいわけ。オマエも聴け。Springsteenとか聴いてんじゃねえ!!」

オレ「ヘヴィメタはダサいからいい。ご遠慮。」

同級「大体オマエ、Van Halenは聴いてるじぇねえか。だったらEZOも聴け!!」

オレ「関係無いだろ・・・。オレは502でヘインズの青タグでシャツはインヤンかインセンスだから、お前らみたいなダサいプリントTは着ない。オレが持ってるプリントTはBob Marleyだけ。」

同「意味わからん。オマエにライトハンド教えたよな? ライトハンド好きなやつがなんでヘヴィメタ聴かない?」

オ「だから・・・」



こんなやり取りが延々続く・・・。その後ある時、たまたまラジオでスラッシュ(メタル / G&Rのギターだった人の事ではない)特集を聴いてしまったオレ。



オ「ヘヴィメタはダサいけどスラッシュはカッコいいな。あの辺なら聴いてみたい気持ちになってきた。」

同「そうか!! じゃあ、明日持ってくる!!」



翌日、何本かテープを借りる。それをウチで聴いた次の日学校で。



オ「おい。これのどこがスラッシュだ? ふざけてんのか?」

同「いや、まずはここから入るべきだって。スラッシュもいいけど、基本は聴いとけ。LOUDNESSは日本の誇るヘヴィメタ・バンドなんだよ。オマエに教えたライトハンドもLOUDNESSのコピーなんだよ。好きか嫌いかは置いといて、演奏は凄かっただろ?」

オ「まあ確かに演奏は凄いと思うけど。あれだな、ヴォーカルがカッコ悪いな。」

同「・・・」



平和で暇でくだらない、時間を贅沢に使えた頃の話。



この話を思い出したのには当然理由がある。大きなニュースなので知っていると思うけれど、LOUDNESSのドラムの樋口宗孝の逝去。80年代、LOUDNESSは確実に大きな影響力を持っていたバンド。上のやり取りでわかるように積極的に聴いていたわけじゃないけれど、日本のヘヴィメタのシンボルという意識は持っていた。



樋口さんのご冥福をお祈りいたします。