うつみようこ & YOKOLOCO BAND

よく考えてみると女性のロック・ヴォーカリストで、単純に好きな存在がいなかった事に気付く。ロックを外せばカヒミだったりUAだったり美佐子ネーネーだったり、それなりにいるのだけど、ロックにはいなかった。例えばPhewは、オレが知る頃には既に伝説的という装飾が付く存在で、世代的にもオレより確実に上の連中にとってのシンボルだと思う。リアルタイムで『Our Likeness』を手にして、それから古いものや新しいモノを聴いてきたけれど、本音でカッコいいと思うにはMostまで待つしかなかった。



Soul Flower Unionの『90's Singles』を聴いて、オレがある時期からSFUに興味が失せた理由がうつみようこの歌声が無くなった事だったと気付いた。1曲目の「世界市民はすべての旗を降ろす」で気がついた。



Adult Noize』は、うつみようこが&でつながったYOKOLOCO BANDと作り上げた作品。この半年ほど時折聴いている。久しぶりに聴いた、新しいうつみさんの歌声。個性を持った魅力的な歌声は変わってない。やっと、好きな女性のロック・ヴォーカリストがいると言える。



大人はロックを聴かないと思っていた。どちらかといえば若い頃からジャズを聴いていたし、R&Bやクラブ音楽辺りから小洒落た音楽を聴くようになってからはロックはあまり聴かずに済んでいたし、アヴァンはある意味ロックの代替にしていた。ロックは聴かないことで自然と離れると思っていた。とは言っても完全に離れることも出来ていなかったけれど。



齢30を超えてのロック・ミュージシャンは、若い頃にビッグネームを味わった連中が、その余力で食いつないでいるだけに見えていた。

だけどRock'n'Roll Gypsies、Groovers、佐野元春Soul Flower Union、そしてうつみようこ。ここ数年、彼らの音をCDやライブで聴いて、ロックは一緒に歳を重ねてもいい音楽になっている事に気付いた。やっと言い訳を見つけたので、これからもロックを聴き続ける。









うつみようこ & YOKOLOCO BAND 『Adult Noize』