Soul Flower Union

10/8のMultikalutiのライブの物販で、Sightsの『El Sur』を買ったということを書いた。その後、Sightsのトロンボーンの大原裕をネットで検索。色んな事柄の中に、Soul Flower Union中川敬による追悼文にあたった。それを読んで、大原がSFUの作品に参加している事を知り、SightsのCD以前に大原の音が聴けていた事を知り、なんとなく安心した。それと、こうやって自分の気に入った音がどこかでリンクしていた事が嬉しかった。

SFUの新作『Cante Diaspora』を手に入れたのは、Multikalutiのライブの前日。いつものようにレコファン。MP3にしてiPodに突っ込んで、それを耳にしたのは10/9の酒井さんのライブを見た帰路。「満月の夕」を聴いた事がきっかけ。それから今日まで、オレが最も耳にしているアルバムが『Cante Diaspora』で、最も数多く聴いているミュージシャンがSFU

Winds Fairground』までしか耳にしてなかったし、1stの『Kamuy Ipirima』も聴いてなかった。ここからレコファンで見つけられる中古を揃えて、見当たらないものはamazonマーケットプレイスで手に入れた。一気に作品を集める時は少しでも安い状態で手に入れたかった。そうやって集めて、全てのオリジナル・アルバムを聴いて、10年ほどの空白を一気に埋めにかかっている。

『Cante Diaspora』は絶賛したい内容。SFUのと言うより、日本のポピュラー音楽における最も優れた作品。今回は言い切る。収録曲の全てが必要な楽曲。

賑々しく、いやみな言葉も伴った「月光ファンファーレ」。「西から昇ったお日様が」の引用が印象的。

勢いを持って続く「愛の総動員」は、癌を患っている歌舞伎昌三という舞踏家からのインスピレーション。ネガティヴではなく、声を上げて謳歌する事を主張している。

シングルとしてもリリースされた「海へゆく」。「満月の夕」と遜色無い名曲。「女(男)は 決意込め また海へ行く」と歌われるこの曲は、辺野古の事を思い出させる。あそこで闘う人達の歌に聴こえる。だけどそれは、それぞれの事柄に置き換えられる。そしてサビに出てくる「静寂に 身を焦がす」という言葉。

同じくシングル曲の「ラヴィエベル 〜 人生は素晴らしい!」は、軽快なリズムの上で「人生は素晴らしい」と「人生はクソッタレ」を繰り返す。泡盛は美味くないけれど、安いから沖縄のソウル・フード(ドリンク?)。

個人的に最も気に入っている「道草節」。「べっぴんさんの笑顔があって 我等は生きる」という一節。ここにニヤつく。これはまごう事無き真実。

レゲエなリズムの「閃光花火」は、希望は色んなところから見出せる事を歌いこむ。

サイケな要素も見当たる「スイミング・プール」。一見小品の印象だけど実は、このアルバムで最も美しく響く音。

中東の響きを携えたフィドルが印象的な「パレスチナ」は、虐殺という行為が歴史上の事ではなく、現在も続いている場所がテーマ。メディアがとりあげなければ忘れてしまう現実を告発。

「国境は無いとイメージしろ」と歌ったのはJohn Lennon。だけど国境は常に存在する。「国境線上のカルナバル 〜 ヒャクショウ・ソウル」は、小さな大きな色々を、国境線上から見渡している。

裏街を見る視点を軽やかに描く「非公式な夜」。不器用でもそれなりでも、踊る。

日本という国の曲である事が明確な「名もなき惑星」。小さな国から大きな場所を歌う。

ライブ辺野古』にシングルとして付属されていた「辺野古節」。この歌にあるメッセージは「わったーシマの 願いよ届け」というわずかな部分。それ以外は、美しい場所と事を歌っている。

ブルージーなピアノ、スチール・ギターのような響き、アルバム唯一のインスト曲「朝ぼけら」。

前曲からブルースを受け取ったような、誠実なメッセージの「もっとおっぱい」。誰もカレもおっぱいが必要。大きくても小さくても関係ない。おっぱいには勝てない。

アルバム最後の「寝顔を見せて」は、中川敬版「Beautiful Boy」と言えるもので、このやさしい目線でアルバムは幕を閉じる。



印象的なジャケットは、James Nachtweyというフォト・ジャーナリストで戦場カメラマンな人の作品。ブックレットの写真は中川やOkouchi Miyukiさん、Shibata Eriさんという人が撮ったものなのだけど、このブックレットの写真も秀逸。









ソウル・フラワー・ユニオン 『カンテ・ディアスポラ




Artist-Direct Shop 405というネットショップを使って来月のライブのチケットを手に入れた。これで準備完了。ついでに少量だけDVD付きが再入荷したと書いてあった『Ghost Hits 00〜06』も購入。そして、ライブ会場と405のみで扱っているという、紙ジャケでDVD付き仕様の『Cante Diaspora』も買った。『Cante Diaspora』は2つになったけど、中古盤で多々作品を手にしてしまったので、そこからSFUには印税が入らない事を思えば、これでバランスをとったと、そういう購入理由にして解決。