Norwegian Music

北欧と言うか特にノルウェー勢、来日多いな。T0ky0 C0mfluxの初日とBugge Wesseltoftのライブが被っていたのだけど、見たことの無いBuggeも見てみたい気持ちはありながらそちらへは行けなかった。しかも客入りは今一つだったようで、しかもクラブイベント的な興行だったから、Buggeのファンじゃない人も多々いたとか(詳細はMMの最新号に載ってる)。ジャズとクラブ音楽の融合がBuggeを有名にしたけれど、やはり客層は異なるわけで、この辺を主催者が読み切れなかった事がそういう結果になったと思う。素直にスーパーデラックスあたりでソロの2daysとかなら大いに盛り上がったはずなのに。

最近、エレクトロニカ系をあまり聴いていないけれど、一応多少は耳にしている。そういえばErstwhileのイベントもT0ky0 C0mfluxと重なっていて、まあ、初日は行こうと思えば行けたのだけど、キッドアイラックは若干癖のあるハコなので、躊躇した。あの椅子に座って場合によっては弱音を聴くと思うと足を向けるのは難しかった。



で、今夜はSDLXでNorwegian Musicというノルウェーエレクトロニカな音楽のイベント。ノルウェーエレクトロニカと言われてもピンと来ないけれど、参加する3組の中のAlogというユニットがRune GrammofonからCDをリリースしているらしいので、レーベルの魅力に負けて行ってみた。何かが間違っている気もするけれど、この際気にしない。SDLX連荘。しかもサンヘドリンとノルウェーエレクトロニカって、やはり何かが間違っているかも。



1stはJana Winderenという女性ミュージシャンの演奏。なかなか美貌。演奏はラップトップで行う。そこにフィールド・レコーディングした水中の音などを仕込んでいて、それを再構築して音楽にする。特にエレクトリックな音やわかりやすいリズムがあるわけではなく、愛想のいい音楽ではない。壁に投射された氷山のある海の様な頑なさもある。それをどう受け取るかで、退屈かそうじゃないかが決まる。オレは、まあ、これがもし1時間続いたら苦しかったかもしれないけれど、30分にも満たない演奏時間だったおかげで気が抜ける事はなかった。なんとなく、The Residentsの『Eskimo』を思い出した。



2ndは音担当のAlexander Rishaugと映像担当のMarius Watzのデュオ。というとまるで知っている名前のようだけど、全然知らない名前。このデュオもラップトップで演奏。音楽としてはフォークトロニカ。メランコリックな音が満載で、実は結構気に入ってる。そして映像は、静止画のスライドだった1stのWinderenとは異なり、CGで作られたもの。テクスチャーの張り合わせで作ったモノクロの球体から始まり、いくつものリボンが円や球を作るように動く映像からは色が付く。その色使いがアンバーとでもいうか、とにかくそういう感じの色使いで、この色のセンスに引かれる。これ、やはり北欧らしいセンスだと思うのだけどどうだろう? 演奏は1時間を越えるもので、この手のものとしては長いといえると思うけれど、音、映像ともに飽きるところが無かった。



3rdはいよいよAlog。このユニットはEspen Sommer EidetとDag Are Hauganのデュオ。もちろん両者とも全然知らない。

このユニットは自作楽器を用いての演奏で、だから見た目に演奏している感がある。というか演奏している。

でかいオルゴールの様なモノを抱えて、それについているハンドルを回して音が鳴ったり、鉄琴の様なものを叩いて、それがラップトップを通してエレクトリックな音と本来持っている音が同時に鳴ったり、スティックを鳴らしたり、サンプリングされた人の声が出てきたり、レコードの乗ってないターンテーブルでカートリッジが音を出したり、一応ギターの音もあったりと、かなり色々。音楽的にはエレクトロニカというより、Michel Waisviszとかトイ・ポップ的で、そこに人の声のサンプリングの扱いがRiechを思わせたりと、焦点の定まらない面白さがあった。

1stと2ndは1曲演奏のスタイルだったけれど、Alogは4曲ほどに分けていて、最後の曲ではマエダ・エリという北欧(?)で活動している日本人の女性が加わる。このマエダさんが華奢な見た目にも拘らず強烈な音を使う。オレの場所からでは何を演奏しているのか見えなかったのだけど、結構体が動いていて、そして聴き覚えのある音が出てきて、それがテルミンだと気付いた。なかなか暴力的で魅力的だった。



またしても物販を利用。Alogの『Amateur』を購入。それを聴きながらこれを書いていたのだけど、ライブの印象の後にCDを聴くのはどうかと思ったけれど、これ、結構良い。ライブでは伝わりきれない繊細さがCDに用意されていて、このユニットは大きな収穫。他のも買えばよかった。



※ 11/3、このログの間違いをラパポート氏より教えていただきました。そのメールを追記に引用します。







そっか、テルミンじゃなかったのか・・・。音とマエダさんの動きで勝手にテルミンだと思ってしまった。実は終演後Alogの楽器を見に行ったのだけど、その時にマエダさんの楽器も見ておけばよかった・・・。しかも名前も間違えてる。なんかな。



マークさん、ご指摘ありがとうございました。

[ http://webusers.siba.fi/~emaeda/