Multikaluti

ついこの間、折角Susannaの歌で癒されたばかりなのに、またしても強面のライブに。

今年の3月、Emergency!のベースの水谷を船戸博史に入れ替えて、芳垣安洋EG4というユニット名でライブがあったけれど、そのユニットがMultikalutiと名前を変えて登場。このMultikalutiというのは、Don Cherryの『Multikaluti』から取っていると思われる。



1st、Mingusの「Better Git Hit in Your Soul」で幕開け。いきなりハイテンション。Emergency!の時によくあるパターンだけど、最初の演奏なのに最後みたいに押し捲る。

続けて同じくMingusの「Fables of Faubus」。大友良英と斉藤"社長"良一のギターがコール&レスポンスが面白い。

3曲目はKirkの「Inflated Tear」。ここでは船戸のベースが冴える。ニコニコしながらあのベース。こういう人が一番怖い。

1stの最後はまたしてもMingusの「Jelly Roll」で、ここまでギターの音の大きさにかき消される事もあった芳垣の叩きが圧倒的。この人のスネアは多分最強。

2ndの最初の演奏はDon Cherryの「Mafty」。これは3月のライブでもやった曲で、Mats Gustafsson曰く、西アフリカの曲を「Don Cherryがパクった」曲だとか。この辺りの選曲が、Emergency!との違いかも。

2曲目と3曲目の曲順に自信が無いけれど、多分2曲目がOrnette Colemanの「Lonely Woman」。船戸のベースによるイントロからテーマの提示、それに絡む芳垣のリズム・パターンにやられる。そしてテーマを引き受けるのは大友。この曲への思い入れという意味では、やはり大友じゃないかと思う。大友はこの曲のテーマを愛しむ様に奏でる。社長はあまり音をはさまず、途中で効果音的にサポート。この夜の個人的なベストであると共に、今まで聴いたこの曲の演奏、CDとかライブとか、もちろんOrnette自身のオリジナルも含めて、もっとも美しい演奏だったと思う。

3曲目はCherryの「Birdboy」で、レゲエな曲。このペース・チェンジが流石。この演奏はスタンディングで聴きたかった。

本編ラストはBurt Bacharachの「I Say a Little Prayer」。まあお約束。しっとりとメロを聴かせてたけれど、終盤、アゲアゲな全く違う演奏に変わる・・・。こうなると他の曲を継ぎ足したとしか思えないのだけど、実際どうだったのだろう?

アンコールはDuke Ellingtonの「Mood Indigo」。こっちはホントに静かに演奏していた。




1stの演奏が終わって休憩前に、芳垣がOrquesta Nudge! Nudge!の新作を先行発売していると言うので、物販コーナーに行って『Rhythm Chant』を買おうと思って色々見てたら、Sightsの『El Sur』があるのが目に留まり、それ手にしたのを見ていた売り子担当の某レーベルの社長から、「これは良いですよ」と勧められたので購入を決め、ついでにふちがみとふなとの新作がないかと思ったけれど、それは持ってきてなかったみたいで、船戸のソロ『Low Fish』があったのでそれも買ってみた。今、とりあえず『El Sur』聴いてるのだけど、これが確かになかなか良い。トロンボーンのワンホーン・トリオという編成だけど、大原裕のボントロが表情豊かで惹かれるし、音楽のスタイルのせいか、芳垣もラテンっぽい音使い、船戸のベースもじっくり聴ける。



しっかし客少なかった。びっくりするぐらい少なかった。席が半分埋まったかどうかぐらい。オレが今まで見た芳垣のライブで最も少ない。しかも大友もいるのに。この面子なら面白い演奏が聴けるのはわかってるのに、一体どうなってるのだろう?