Beck

The Information』から2年足らずの新作『Modern Guilt』は、シンプルだとかストレートだとか、そういう言葉での評価が多い。たしかにその通りだと思うのだけど、個人的には『Guero』や『Odelay』には情報過多と感じたのだけど、それ以外の作品は特にそういう印象は無い。それに誰が聴いてもシンプルという意味では『One Foot in the Gravy』があるわけだし、『Modern Guilt』だけそういう扱いで評価されている事に少々違和感を感じる。

といっても、アルバムの雰囲気は『Odelay』のプリ・プロダクションな感じ。古めのロックやポップスの断片がまぶされていて、風通しのいいアルバムだと思う。



と、上記を書いたのは1ヶ月以上前。なんとなく下書きのままにしていたのだけど、そのおかげで結構このアルバムを聴き続けている。「Loser」でBeckを知って以降、多分リリースされたアルバムは全部耳にしているはずだけど、その「Loser」の頃から、Beckの音楽は変わっているけれど新しいモノと思った事はなくて、ぼんやり聴いてきた。気持ちを入れて聴く類の音ではないはずで、そこに付かず離れずな感覚を置きやすくて、ブラブラ聴く。

『Modern Guilt』の音がシンプルと言う話、まあそうなのかもしれないけれど、これって音の作りこみの部分以外に、アルバムが33分ほどしかないという事も影響していないだろうか? この短さをどう思うかはそれぞれだけど、個人的にはその短さこそがシンプルという言葉が最も通用する部分だと思う。そしてこの短さで今のBeckのやりたい事が収まったのなら、理想的な結果と言えるはず。



朝、職場へドアドアで丁度このアルバムが終わるか終わらないかぐらいなんだけど、それが何度も聴くという作業を促す結果になった。ジャケットもBeckにしては珍しくオレの好みだし、オレにとっては色んな要素が重なって、このアルバムを繰り返し聴く理由が出来た。









Beck 『Modern Guilt』