Tokyo Conflux 2008 - Brotz Fest 08

Tokyo Conflux 2008が5日間で、その前に大友良英のセッションを見たから、ライブ鑑賞6連荘が終了した。「そんなの大した事は無い」という猛者がいるのも知っているけれど、オレはいっぱいいっぱい・・・。

仕事の都合でスーパーデラックスには演奏開始ギリギリに到着。入場料を払って中に入ると、MCのマーク・ラパポート氏の声がすると思ったら演奏が始まった。チケットをビールに変える暇も無い。

1stはPeter Brotzmann灰野敬二。やはりデュオだったかと思いながら、これを初っ端に持ってきた事に少々驚く。灰野はギター、ヴォ−カル、シンバルなどを使って演奏。灰野らしいと言える。こう言っては何だけど、灰野ペースのセッション。というか、SDLXは陣取ったところで音の聴こえ方が大きく異なり、中央付近に来なければバランスは偏ったものになる。オレは灰野側に座ったので、Brotzmannの音は灰野が音を静めていなければ聴こえない事が多く、さらに灰野の手持ちがギターの時は、Brotzmannが激しく吹いている姿は確認できるのに、音は殆ど聴こえないという状態だった。その点は残念だけど、灰野のパフォーマンスは文句の付け所が無く、特にあのヴォーカリゼーション、強烈な高音を発した時はゾクゾクした。

2ndはPeter Brotzmann / 八木美知依 / Paal Nilssen-Loveによるセッション。連名だけれど、既にグループとして機能している。1stでは客席から見て左側に居たBrotzmannが今度は右側に。これによってBrotzmannの音が拾いやすくなったけど、今度は八木さんの音が・・・。こればかりは早く来る事のできなかった自分のせいなので仕方が無い。演奏のスピードは落ち着いた印象で、Brotzmannの音は今更言う事は無い。今日はスピリチュアルな音を感じる事が少なかったけれど、語り口の迫力は変わらず。で、このセット、実はPNLの音が面白かった。The Thingの時の様な激しさは感じ取れなかったけれど、スピード感はいつも通りで、冷静な音量で音が羅列された印象。爆発しないけれど殺傷能力は変わらない感じという感じ。あまり音が拾えなかった八木さんは、それでもPNLの音がおとなしく感じたおかげで、Brotzmannの音が無い時には遠いながらも感じる事は出来て、そのせいなのかどうかわからないけれど、グルーヴは聴こえてこなくて、でも、ヤバイ時のアグレッシヴな感じとも違っていて、なんていうのか、Jim O'Rourkeの音を解釈した後の音というか、なんていうか・・・。今までオレが聴いた八木さんの音とは違う印象だった。

3rdセットはBrotzmannにMats GustafssonとKen Vandermarkの3管での演奏。管楽器のみの編成はWSQが頭に浮かぶ。ピットインでのThe Thing + Ken Vandermarkの2日目のアンコールのような演奏かと思いきや、しっかりフレーズする演奏。サポートとソロの重なり合い。ここで一番耳が引かれたのは実はVandermark。特に1曲目と2曲目のクラリネットが良くて、Free FallのCDのネタじゃないけれど、オレもVandermarkはテナーよりもクラリネットが面白いと思う。この音色は特別。

3rdの最後にゲストが加わる。坂田明。今夜は驚きはしなかったけれど、音は流石。これで大団円ってやつ。



最初から3セット組まれていたおかげで、この5日間のイベントで最もバラエティに富んだ夜だった。まあ、またしても趣旨からそれるけれど、今後、灰野と坂田さんのセッションとかあったら面白いと思う。それと、八木さんと灰野ってのも結構噛み合うと思う。そういうセッションを楽しみに待つ事にする。



久々に物販を利用。買ったのはPeter Brotzmann / Mats Gustafsson / Paal Nilssen-Loveの『The Fat is Gone』、The Thing with Ken Vandermarkの『Immediate Sound』、Territory Band - 6 with Fred Andersonの『Collide』の3枚。この中のTerritory Bandは、Vandermarksのユニットらしく、ジャケットがいい感じだったので手にとって見たけれど面子の表記が一切無く、なんだかわからなかったので物販の人に「これってどういう面子?」と尋ねると、「Vandermarkの大きな編成のやつで、Matsとか**とか**とかが参加してます」と言われ購入。だけど、開けてみるとGustafssonの名前はありませんでした・・・。Axel Doernerとでも間違えたのだろうか・・・。まあ、Vandermarkの作品が欲しかっただけなので、Gustafssonが入っていようが無かろうがどっちでもいいのだけど。