Tokyo Conflux 2008 - 臨場感ナイト2

Tokyo Conflux 2008、4日目はクラシックスに戻り臨場感ナイト2という名のKen Vandermarkフィーチャー大会。

この3日ほどゴリゴリな演奏に浸りまくって、楽しいのだけど少々疲れもあったのが本音。

1stセットは、サックスとクラリネットのVandermarkに、ベースのIngebright Haker Flaten、ドラムに田中徳崇という組み合わせ。シカゴ帰りの田中に、最近はシカゴでも演奏していると言うFlatenなので、シカゴ・トリオだとか。演奏されたのはフリージャズ。それも、アヴァン寄りではなく、ロフト・ジャズ辺りに先祖帰りしたようなフリージャズ。言ってみれば、どジャズ。クラシックスでどジャズ。なかなかいい。

Vandermarkは、The Thingとの演奏程向こう側に行かない。踏み止まるからこそ表現されるものがあって(平たく言えばジャズって事)、それをVandermarkは聴かせていたと思う。

この間のJim O'Rourkeの2daysの初日に初めて音を聴いた田中は、とにかくタムの音の印象が強く残った。スネアあったっけ?と思うぐらいタムの音の羅列が印象に残る。シンバルやハイハットも、まあ、意識的に確認していたので使っていたのはわかっているけれど、でも、とにかくタム。ドムドムしてるけれど切れ味みたいなものがあって、個性的な音。実はVandermarkより、田中の音に興味が行ってしまった。

そしてFlaten。こちらもThe Thingの様な演奏と違い、渋く決める。だけど、やはりこのハコでは少々苦しい印象。音が演奏を包み込んでいるのはわかるのだけど、持ち味はもう少し生々しい音だと思う。残念。

2ndはVandermarkとO'Rourke&Paal Nilssen-Loveによるトリオ。

視界に入らなかったので間違っているかもしれないけれど、O'Rourkeはギターのみを扱った。そのギターをO'Rourkeは小さな音で演奏する。音響派的と言ってもいいのかもしれないけれど、そこまでには至っていない。柔らかく小さな音。だけど含みは多い。

VandermarkもO'Rourkeに合わせた演奏を行う。ジャズが根底にある事がこの人の持ち味だと思っていたので、こういう演奏をこなす事が少し驚きだったと同時に、やはりどこかにジャズを感じる。それによって、シカゴ音響派の音楽というより、アメリカーナの音響派的解釈とか、そんな事を思わせる。

PNLは、結論から言えば、今夜の演奏は個人的な好みには当てはまらなかった。PNLとしては小さな音で演奏していたのだけど、それでも少し、音楽の雰囲気に比べれば音が大きいし数が多い。例えばもしドラムがMartin Brandlmayだったら、Roger Turnerだったら、芳垣安洋だったらと考えてしまった。でも、それが必ずしも悪い事では無くて、演奏の組み合わせを考えさせるという楽しみを与えてくれたし、コントラストの淡い部分をあえて見るようにO'Rourkeの音を拾うことで、演奏を聴く事の集中力が全く途切れなくて、もしかしてそれを狙った演奏なのか?と、そういう事まで考えさせる。

という事で、Vandermarkの演奏の面白さも味わいながら、趣旨からそれるけれどO'Rourkeの凄さを思い知る事になった。それは八木美知依 / 黒田京子 / 田中徳崇とのセッション、山本精一とのセッションから連なるもので、この時点で言ってしまうのは躊躇しないでもないけれど、Tokyo Conflux 2008で個人的なベストは、今夜の2ndセット。もちろん、昨夜までのイケイケな演奏を楽しんだし、それは昨日までのログでわかってもらえると思うけれど、それらと趣の異なる今夜の2ndが、今のオレの気分に一番しっくりくる。まあ、前日までの演奏との比較によって余計にそう思ってしまったという可能性も否定できない。



明日のスーパーデラックスのBrotz Fest 08で、Tokyo Conflux 2008は終了。Peter Brotzmann吹きまくりの日。ここでは八木さんとPNLとのユニット、もしかしたらThe Fat is Gone?、そして灰野敬二とのデュオ? もしBrotzmannと灰野のデュオになれば、崩しようの無い個性を確立した2人の音の絡みになれば、また、今日までとは違った演奏が聴ける気がする。