Free Fall

Tokyo Conflux 2008』関連のネタをもう一つ。

昨年Hakon Kornstad / Havard Wiikのライブを見た時に、『Palinode』と一緒に物販で手に入れていたFree Fallの『The Point in a Line』。『Palinode』だけじゃなくてもう1枚ぐらい何か無いかと見ていたところ、『The Point in a Line』のジャケットに惹かれ、手にとって見たけどどういうものかよくわからず、物販してた人に「これはどういう作品?」と聞いたところ、「これはHavard WiikとIngerigt Haker FlatenとKen Vandermarkが一緒にやっているユニットの新作で、この中でVandermarkは全編クラリネットを吹いています。いやあ、サックスよりもクラリネットの方が上手いんじゃないかってぐらいいいです。」と言っていて、そこまで言われた買うしかないと思い手にした。が、しかし、この時点でオレはVandermarkと言われてもピンと来なかった。

その後CDを聴く時に調べてみて、シカゴのフリーなジャズ〜即興シーンのプレイヤーである事を知る。様々な作品に参加しているようだけど、オレの手持ちではGastr Del SolとJim O'Rourkeのソロ作、後はAtomicとSchool Daysの連名作ぐらいしか見当たらず、今まであまり縁の無い状態だった。そして『The Point in a Line』も特に印象は強くなく、まあ、そういうもんだと思っていた。が、『Tokyo Conflux 2008』で来日すると知って、『The Point in a Line』を改めて聴いて印象が変わる。Wiikの端正で粒の揃った音は今更で、Vandermarkのクラリネットはフリーキーなだけではなく、楽器の雰囲気を生かして実直にメロディーを吹き、だからその方便さがわかる。そしてFlatenのベースの響き。前に聴いた時はスピーカーだったのだけど、今回iPodに入れてカナルを使った事でこれらの音がダイレクトに伝わってくる。特にFlatenのベースの音。ここでのFlatenはアコベを使っているのだけど、この音の生々しさはライブでも聴いたことが無い。というか、ライブの方がこの音は伝わりにくいと思う。

音、演奏共にどれも文句無しだけど、最も好きなのが11曲目の「Open Not Closed」。この演奏の終盤Wiikのピアノが消え、1分ほどのVandermarkとFlatenのデュオ状態が凄い。Dolphyがバスクラからクラリネットに持ち替え、しかもつんのめるようにスピードを上げて音を吐き出すかのようなVandermarkと、ホントにすぐ横でPA無しでその音を聴いているように思わせるFlatenのベース、それを止めるようにWiikが指を叩きつけ、現実に戻される。この演奏のインパクトは、ここ数年で最もなモノの一つ。でもこのアルバムには、それに負けない瞬間は他にもある。









Free Fall 『The Point in a Line』