山本精一 / Jim O'Rourke

昨夜はスーパーデラックスで山本精一とJim O'Rourkeのセッション。SDLXは少し久々感。

2人のギタリストのセッションという事や、SDLXの客入れの設定時間が30分という事で、集客は多くないという予想だったのだけど、間違い。結構な数の集客だった。ちょっと驚く。

ギタリスト2人のセッションとは言っても、O'Rourkeがギターだけを扱うとは思えず、山本もそれだけという事は無いだろうと思っていたのだけど、やはりその通りのライブだった。

O'Rourkeの側にはシンバルやタムがセッティングされていて、山本の側には小型の筝(?)の様なものやMacのラップトップがあり、個人的には初見のセッティング。

1stは小さめの音で抽象的な展開だった。その中でも冒頭、エレアコを抱えた山本がPAを通さず発した音にいきなり惹かれる。

2ndは古のフリーインプロの様な硬質な音で幕を開ける。山本は小型の筝の様なもので音を発し、O'Rourkeはタム等をいじりながら雰囲気を作る。そしてギターに持ち替えたO'Rourkeは、ブルージーアメリカーナとでも言えるようなラインを弾き、山本が色づけを行う。いつまでも聴いていたいと思わせ、でもこれ以上続くと飽きるかもしれないと感じる絶妙なタイミングで演奏は終了。O'Rourkeと山本がお互いの名前を紹介して退場。

ここで違和感。1stと2ndの休憩中、「今日は3セットで・・・」という話をしているのがいくつかの場所で聞こえていたので、オレもそうなのかと思っていた。だけどそれにしては1stと2ndの間の休憩が長すぎだと思っていた。それが2nd終了後にアンコールを要求する手拍子になり、確かに2ndの終わり方を見れば本編が終わったような雰囲気だったし、なんだかよくわからないと思っていたら、O'Rourkeと山本が登場。アンコール・セッション。

ここで山本はストラトを使い(それまではギターはエレアコだけ)、O'Rourkeはリズミックにタムを叩く。アグレッシヴな音での短いセッション。まあこれはなんとなくこういう流れになる予感はあったけど。1stと2ndが音を抑えた演奏だっただけに、この演奏はかなり効いた。



個人的には1stがとにかく好きだった。演奏の変わり目が見えたり見えなかったり、穏やかな中に突然ノイズが紛れ込んだり、なんとなくO'Rourkeの頭の中と山本の感覚が見て取れるような演奏だった。




という事で個人的には面白い演奏内容だったのだけど、困った事もあった。それは演奏中、小さい音を扱うという事で空調を止めた事。涼しくなりつつあった東京だけど、ここ1週間ほどは残暑と言う言葉が似合う状態。その中で、あの集客で空調を止められると息苦しいし、暑いのが苦手なオレは汗ダラダラ・・・。さらに、多分、あの集客はアグレッシヴな演奏を望んだ人達が集まった結果だと思うのだけど、そういう中でのあの演奏は、演奏中のオレの周りの客の忍耐力を失わせていて、イライラさせられることもあった。小さめの音での演奏は、今まで見たライブの経験上、最も客を選ぶライブだと思う。だからそういう演奏のライブに多くの人が集まる事は見たことが無い。それは、そういう演奏には付き合えないという選択だと思う。だけど、山本精一とJim O'Rourkeという組み合わせを見れば、アグレッシヴな演奏を期待してしまうのは仕方が無い。その中でああいう演奏が行われた事は、あの暑苦しさも関係して、集中力を失う人がいた事も仕方が無い。

空調を止めるという事は、それによって消される音を聴かせるという事のはずだけど、それによってバタバタとチラシを仰ぐ音や、苛立って妙な声を出したり、ブツブツなにか言い合う人たちが演奏中に表れる。それは結局空調よりもイヤな音を聴かされる結果になる。その辺の事、組み合わせによる誤解が生む結果については、考慮すべき点だと思う。