Nas

前作『Hip Hop is Dead』から1年半という短いスパンでリリースされたNasの新作『 』は、元々『Nigger』というタイトルの予定だったらしい。それを結局使わない(使えない?)という判断になり、タイトルを持たないままでのリリース。ネットを見ていると『Untitled』というタイトルを当てはめているようだけど、海外では『Nas』というセルフ・タイトルとして扱っているところもあり、少々ややこしい。使用予定だったタイトルが使えなくなったのだから、個人的には『 』と表記したい。Blank。

思いっきりメジャーな立場でありながら、アングラをシカトする事が許されないのがNasの立ち位置だと思う。だからラップする内容は、今までもそうだった様に『 』もへヴィーなものらしい。と言うのは、輸入盤がリリースされた直後に買ってしまったので対訳が無いため、ラップしている内容がよくわからない。それでもリリックが載っているサイトで字面を追って、わかったつもりになろうとしたけど色々厳しい。

トラックに特に耳につく新機軸みたいなものは感じられず、ゲストもそれなりにいるのだけど、面子に派手さもあった前作に比べれば、そこに気を取られる事は無い。なので一見地味な印象。だけどそこが真摯なものに感じられ、背中を向けたジャケットが、見せ掛けとは違うとでも言いたげに思える。

というとハードコアな作品と思われそうだけど、でも、フックはキャッチーなものもあって、Nasの言葉がダイレクトに伝わらなくても、相変わらずカッコいいNasのラップを追っているだけでも十分。というか、こういう作品だから、繰り返し聴いていても飽きない。



ちなみに『 』の日本盤、『Hip Hop is Dead』に続いて対訳無しだとか・・・。買わなくてよかった。ネットがこれだけ普及して、情報がいくらでも探せるこの時代に、対訳の付いていない日本盤に意味があるのかどうか・・・。









Nas 『 』