Satoko Fujii MA-DO

藤井郷子の新しいユニットであるMA-DOのライブ鑑賞も、昨夜のピットインで確か3度目。

藤井さんの継続されるユニットは、基本的に全てフリー・ジャズと言える。そして編成的に、カルテットと名づけられたユニットと、Fourと名付けられたユニットとMA-DOは同じ楽器編成でもあり(カルテットのベースはエレキで他はアコだけど)、しかもいづれもトランペットは田村夏樹であり、ピアノは当然藤井さん。ドラム&ベースが異なるカルテットを3つ継続させている事になる。調べた事もないし調べる気もないし調べようも無いのだけど、こういうやり方をしている人というのは、殆どいないんじゃないだろうか? そしてこの3つのユニットのドラム&ベースの違いによる個性の違いというのが、ファンにとっては気になる。MA-DOはベースが是安則克、ドラムが堀越彰で、こう言ってはなんだけど、カルテットやFourのドラム&ベースのネーム・バリュー(あくまでもオレの趣向の中での話)に比べれば、「見に行こう」という気持ちを強くはさせない。でも、実際にその演奏に触れれば聴き所に差を感じることは無い。特に是安のアルコの表現や、クールに色んなリズム・パターンを駆使する堀越のドラミングは、これまでの藤井さんのユニットとは違った浮遊する白熱の仕方を持っている。そして昨夜の1stで2度程かなりフリーキーな展開が見られたのだけど、そこで田村の発する音の中にまるでエレクトリックなノイズの様なものがあり、これまで田村の演奏もそれなりに聴いてきたけれど、昨夜のその音は初めて聴いた。このラッパ吹きの引き出しは、まだ底が見えない。

藤井さんはカルテットでもFourでもMA-DOでも、スタンスは同じかもしれない。コンポーザーとしてバンド・リーダーとして、もちろんピアノ奏者として。面子の違いによる音楽の違いを、一番楽しんでるのは藤井さん本人なんじゃないだろうか?