Melody Gardot

大袈裟に言って、心が震えるといいたくなる歌声を時折聴く事が出来る。ガキな頃はそれは、多くは熱のこもった歌声に感じていて、そこにソウルという言葉を感じていた。クールなジャズの歌にそれを感じることは殆ど無かった。

ミュージック・マガジンの最新号の表紙で、さらにアルバム・ピックアップでPaul Wellerの『22 Dreams』を抑えてトップに選ばれたMelody Gardotの『Worrisome Heart』は、その記事を読んで手にしてみたもので、既に情報を持った状態で耳にする事になった。Gardotの身に起きた不幸な出来事は、まるで60年代の女優のような美しく物憂げなジャケットからは想像できない。そしてそういう事を知ってしまうと、それを耳にする時に聴く側の勝手な期待を裏切られる事もあり、そういう事を思いながら耳にする事になってしまった。

Gardotの歌声は、MMの記事にもあったけれどBilly Holidayを思い起こさせる部分がある。ジャズにおける不世出のそのシンガーを思わせるというのは、稀有な歌声という事。だけどオレはLady Dayよりも、Carpentersというか、Karen Carpenterが頭に浮かぶ。









Melody Gardot 『Worrisome Heart』




『Worrisome Heart』は、2006年にインディーで出されていたものをVerveから再リリースされたものらしく、そして近々にGardotの新作のリリースが準備されているらしい。そこからGardotの作品は連なって行けるだけの才能だと思うけれど、多分オレにとっては『Worrisome Heart』程の作品は出てこない。そういう事を言い切れるぐらい、『Worrisome Heart』は今のオレのタイミングに合わさった。

でも勿論、「あれは間違いだったな・・・」と言える方が良いに決まっている。