八木美知依 / 佐藤允彦

今月は見る予定のライブが少ない。それなのに連荘になってしまうのは少々もったいないのだけど、まあ、こういうもの。

もう今年もすでに半分が過ぎてしまっているわけだけど、八木さんのフルのライブを見るのは昨夜が初。Ftarriで見た短いセッション以来。佐藤さんはピットインでのPeter Brotzmannと森山威男が初めての生音だったのだけど、予想以上に面白い演奏を聴かせてくれて、日本のフリージャズの創世記に携わった人がいまだに優れた演奏家として存在している事に感銘を受けた。

八木さんは十七弦と二十弦の箏の二つを用意して演奏しているのをよく見る。人数の多いセッションの時は箏は一つ。だけど昨夜は三つの箏があって、十七でも二十でもないその箏を弾きながら八木さんが歌う演奏があった。あれが古典というのだろうか? その箏が何弦なのかもわからなかったけれど、多分元々、こういう演奏を志して箏を演奏しだしたのではないだろうか? そういう勝手な憶測をしながら、それまで知らなかったその一面を聴いて、ライブという場の面白さを確認する。

昔の音のCD化されたものだけじゃなくて新作にも手を出してみようかと思いながらも面子とか演奏されている曲目を見て手を出していなかった佐藤さんの音は、1月に見た高橋悠治と同じように考えながら音を選んでいく様が印象的。八木さんを完全に放っておいているように見える瞬間があったり同期させたり、突拍子も無くラップトップから音を鳴らしたり、音楽を創造しながら音を紡ぎだしているような雰囲気が感じられる。




演奏の場はクラシックスだったのだけど、ここ、本当は駐車場。そこに間仕切壁を立ててハコにしているのだけど、でも、ここも音は凄くよくて、特に八木さんの音はここで聴く音が一番良いとオレは思っている。渋谷の中心で、微妙にアングラで、そういう場でこういう音が鳴っている。ライブが終わって駐車場を出ると公園通り。そうすると今時の女の子がガーッと歩いていくわけで(ウザい野郎どもも多々いるけどな)、この落差が面白い。