Joy Heights

場末といえどもネット上にある以上、検索されればそれに引っかかる事がある。数えたことはないし数えるつもりも無いけれど、多分オレのブログで最も名前が出てくるのは大友良英で、じゃあそれで検索されてここに目を通す人が多いのかと言えばそんなことは無い。内橋和久とかナスノミツルとか芳垣安洋といったArtered States勢でもない。実は意外にもJoy Heightsで検索してここを見ていく人が多い。一応JHは大友絡みという言い方は出来るけれど、ここはあくまでもバンドとして捉えたい。で、某有名な検索サイトでJHで検索すると、何故かこのブログはかなり上位に表示される。しかもそれが昨年7月の記事で、内容はあまりJHを誉めているわけでもなく、なんとなく上からな目線で「まあ、ありじゃないの?」という感じの傲慢な意見と読まれても仕方の無い内容。そして「まあ、今後はライブにはいかなくてもいいかな」ってな事まで書いてある。オレがJHファンなら、「何様だ?、オラ!!」ってな気分になりかねない。

そんな事を書いているくせに、手のひらを返して代官山のUnitへJHのライブを見に行ってきた。「は?」かも知れんけど、実は6/4リリースのアルバム『Country Kill』を手に入れて、それがカッコよくて、だからユニットへ向かった。

まずは前座でBuffalo Daughterのシュガー吉永とDMBQの吉村由加によるMetalchicksというバンドが演奏。メタルというのがこのバンドのテーマらしいけれど、本気と冗談が半々な感じ。メタルというよりどちらかといえばデジ・ロック的な印象。ヘヴィメタっぽいところもあるのだけど、そういう音楽にしては展開が多く、ノリも結構横だったりする。まあまあ面白かったけれど、ギターの音がもう少し大きいほうがいいような気もした。

そしてJoy Heights。文句無し。昨年7月のピットインの時より明らかにバンドとしてまとまっているし、音自体がこういうハコに向いている。放たれる音のの伝わり方が違う。アルバムを聴いた時点で気がついたのだけど、ピットインではイマイチだと思った百々和宏の歌は(今でも)凄く魅力的とは思ってないけど、このバンドの音にあっている。線の細い声のシャウトはパンキッシュであり、わかりやすくロックな感触。ギターも前は大友の音の印象の前に存在感が薄かったのだけど、その大友の影響なのかそれとも元々もっていたのか知らないけれど、結構ヤバイ音も聴かせていた。

大友は音を出すという事の説得力は余裕なのだけど、演奏する姿が妙に力んでいるように見えて面白かった。前は発するノイズが噛み合わないと思える部分があったけれど、今夜はそれがバンドの音になっていて、特に抑えている風でもないのに、そういう状態なのがこのバンドの力量を示していると思う。アンコールの最後、ペットボトルの水を撒き散らしたりギターを客席に預けたりする姿がカッコ良かった。

個人的に最も好きな音だったのはtatsuのベース。あくまでもベースという楽器のポジションではあるけれど、跳ね回る2人のギターが外れた感じにならないのはtatsuの音があったからこそ。グルーヴも文句無しだったし、テクニカルな部分の聴かせどころもあって、tatsuの音だけを追っても満足出来たはず。

中村達也の音は個性的で、アヴァン界隈の強烈な叩き手たちとは違ったもの、、、上手い例えは無いのだけど、やはりこれはロックの強い所を辿ってきた人の音という事なのだろう。そして、このバンドのリーダーであるという事がそれの続きでもあるから、達也はやはり特別なミュージシャンだと思う。



という事で、オレは一気にこのバンドのファンになった。