Joy Heights

※ライブの追記から移動して加筆修正。

Country Kill』の1曲目「崖」は、トランシーになったBoredomsを思い起こさせる。達也のドムドムした和太鼓の連打のような音から始まるこの曲がある意味全て。オレはアルバムの1曲目はものすごく重要だと何度か書いているけど、この「崖」はロック好きを捕まえる事を余裕でやってみせる。曲の後半に差し掛かるあたりでやっと明快なテーマが奏でられ、それまでの焦らしにはめられる。

「World Disco Part 3」は達也の声と思われる何を歌っているのかよくわからないシャウトと多分百々和宏の軽快な「トゥットゥー」というコーラスの対比、そして中盤の大友良英のノイジーな音、さらにパーカッシヴな達也の太鼓のアプローチ、聴き所満載。

タイトル曲の「Country Kill」は、テーマから一転性急な展開。やはり大友と思われる音が暴れる裏で百々のギターとtatsuのベースがペースを作り、とか思って聴いているとあっという間に終わる。

「Insect Teller」は一定のペースを崩さず、色んな音が交じり合う。終盤に差し掛かる辺りのピアノのサンプリングが何故かドキッとさせる。

明快でカッコいいテーマの「17 Zigzag Wander World」はブルース・ハープな音が最初の印象をさらうけど、その裏で鳴っている壮絶な音が面白い。曲の終わりの一瞬のtatsuのベースとわずかなコーラス、これもアイディアが多彩。

タイトルどおり響愁を誘う「響愁」。遠くで鳴っているエレキの前にあるアコギの音が切ない。でも曲の雰囲気はベースが持っている。

アコースティック・ベースのソロで幕を開ける「Pig Me」は何故かフュージョンっぽい印象。

またしてもカッコいいテーマを持った「Camp Fire with Devil」は、その裏でドタドタ叩く達也の音、tatsuのソロもキメキメで、リズム隊が強烈だけど「Damnation・・・」と叫ぶ百々の声も印象に残る。

かなり色々入っている「Want」はあっと言う間。

ハンド・クラップと拡声器を使っているような百々の歌が面白い「涙のBeast」は、もしリリースするなら最もシングル向き。

アヴァンに行きそうなイントロの「Squwarm」も、そうはさせず、ノリのいいリフが先導。当然大友はギュインギュインするし、達也の叩きは煽っているかのようだけど、最後まで外れない。

「郷愁」と同タイプの「滝」。アルバムのクロージングかと思わせる。「郷愁」よりさらに遠いところで鳴っている大友の音が音響派な雰囲気を醸し出していて、なんとなくフォークトロニカ。

ボートラの様な「Baby, I Feel Lonley」が本当のアルバムのエンディング。口笛といい、アコースティックな楽器編成といい、牧歌的な曲想といい、なんとなくニヤつく。この曲、達也がちゃんとした歌詞で歌ってます。



ライブの後、アルバムを聴きなおすという事は殆どしない性格なのだけど、このアルバムは何故かライブの後も繰り返し聴いている。もちろん、ライブの方が音の迫力はあるのだけど、楽曲自体に魅力があるし、録音物でキッチリして見せたこの音があってのあのライブだったと思う。

タワレコでは「大人のロック」ってなコピーが書いてあったけれど、そんな言葉に収まらない。









Joy Heights 『Country Kill』




EURO2008も全チームが2試合を消化した。オレの最も好きな代表チームのオランイェは、予想通りの2連勝で死のグループと呼ばれたCグループの1位通過を決めた。そのオランダの戦いぶりについて、「らしくないカウンターサッカー」という声がチラホラしているけれど、だけどそれは得点のシーンがカウンターになっただけで、オランダのサッカー自体が変わったわけではない。2戦目のフランスとの試合。まだ1点しかない状況でファン・バステンは攻撃的な選手交代をした。それは点を取って引き離すという作戦であり、これが消極的に見えるとしたらおかしい。そしてそれが功を奏し、2点目を、あの馬、、、じゃなくてニステルローイのルーレットなパスからカウンターで最終的にペルシが得点を挙げる。さらにアンリに点を取られた直後、ロッベンのあっと言う間の得点。ロスタイムにはスナイデルの完璧な得点。これのどこが「攻撃的なサッカー」に当てはまらないのかオレにはわからない。

ボール・ポゼッションという意味では、数字上のことはわからないけれど、オランダは今までと違って高いものにはなっていないかもしれない。だけど、先制点を取られたイタリアや、ルーマニアから勝点3を取れると思っていたフランスがディフェンスを疎かにしても攻撃的に来るのは当然のことであり、それに対して余裕のあるオランダが受身気味になるのは当たり前の事。それでも引ききるのではなくて加点を目指し、そしてそれを成し遂げるオランダのサッカーにケチを付けようとするのは、単にイタリアとフランスを過大評価した連中の戯言にしか思えない。

ここまで見ていて、オランダ以外にやはりポルトガルとスペインは面白いサッカーをしている。特にスペインのボール・ポゼッションは、対戦相手に恵まれているという感じはするけれど、それでも流石といわざるを得ない。だけど今のオランイェは、それを崩せるだけのパフォーマンスがある。

まあ、強いチームが必ず優勝するとは限らないけれど、やはりそうあってほしいと思うのはスポーツを楽しむ事が出来る者の考えじゃないだろうか?