三浦陽子

1月のクラシックスでの演奏が印象に残った三浦陽子。その後、三浦さんがリリースした『Dialogueicon』と『Cieloicon』という2枚のCDを手にして、その音に興味が出来つつある。

ライブの後、CDを聴いてみようという気持ちになっだけれど、CDのジャケが少しオレの購買意欲を削いだ。これをタワレコのレジに持っていくのにためらいはあったけれど、それでもそうしないと始まらないわけで、エロ本を買うガキの気分で他のCDに挟んで持っていった。

『Dialogue』はYoko Miura + Matt Wilsonという名義が示すように、Matt Wilsonというドラム奏者とのデュオ集。30分を超える「Improvisation」というタイトルの曲に加えて、ちゃんとしたタイトルの曲が3曲収録されている。「Improvisation」はタイトル通り即興による作品なのだろうけど、きっちりとした構成があるように思える内容。三浦さんもMattも、静かに即興する。柔らかいというよりも優しい音に聴こえる。ジャズとかジャジーとか、そういう雰囲気は無く、ヨーロッパのフリーインプロ的な硬質な感じでもなく、白熱する瞬間もあるのだけど、アヴァンの様に攻撃的では無い。Mattは今回初めて名前を知った。ドラムをパワフルに鳴らすタイプではなく、パーカッション的なアプローチでも静かに音を使う。だけど自身のグループではAndrew d'Angeloをフィーチャーしているという事は、ここで聴かれるアプローチとは違う音を持っているのだろう。かなり興味深い叩き手。

『Cielo』は三浦さんのソロ演奏がメインになっていて、後ろの2曲にMatt Wilsonがフィーチャーされる為、Yoko Miura featuring Matt Wilsonという名義に変わっている。この作品もジャズという言葉からは外れた感じで、音数の少ない隙間を感じる曲の印象が残る。音の鳴りは全然違うけれど、選び方みたいなものにMonkのソロ演奏集に近いものを感じる。この『Cielo』のレビューがJazz Tokyoにあるのだけど、そこで三浦さんの曲はErik Satieの様だと書いてある。まさしくその通りだと思う。単音の印象が強い爪弾かれるメロディーが、SatieでありMonkに聴こえ、それが多分彼女の非凡なのだと思う。この個性は見逃し禁止。









Yoko Miura + Matt Wilson 『Dialogue』









Yoko Miura featuring Matt Wilson 『Cielo』