Peter Brotzmann / 羽野昌二

気がつくと今日でライブ鑑賞4連荘。土日が噛んでいないので、色んな意味でハードな感触。今年はライブ鑑賞を昨年の半減が目標だったような気がするけど、もしかして・・・。まあいい。先週見たばかりのPeter Brotzmannをまたしても見る。今夜はドラムの羽野昌二とのセッション。実はBrotzamnnのCDをあまり持ってなくて、Bailey絡みのものと『Machine Gun』ぐらいしか手元に無い。今でこそフリージャズ〜フリー・インプロのものも多々CDで手に入るようになったけど、90年代初頭まではそのあたりのCDは種類が少なく、Brotzmannを聴いてみたいと思ってもなかなか手にすることは出来なかった。そんな中、初めてBrotzmannのCDを手にしたのはDIWからリリースされた『Dare Devil』、今は手元に無いのだけど、そこでドラムを叩いているのが羽野。羽野のライブは1度だけ見ていて、それは数年前のピットインでのBilly Bangとのセッション。この時の最初の演奏がBangと羽野のデュオだったと思うのだけど、その演奏はなかなか良かった記憶がある。そんなこんなを考えながらクラシックスに到着。

羽野の音の印象。全体に音がドムドムしていて、なんとなく要領を得ない。シンバル等の音も突き抜けるでもなく、どこか野暮ったい。スネアの音でも切り込んでくればスッキリするのだけど、どうもそういう音が出てこない。要するに好みな音ではない。Brotzmannの音はオレの耳に入り込んでくる。響きがオレの好み。ドラムは捨てて、Brotzmannの音に集中する事にしていたら、突然羽野の音が飛び込んでくる。同じ音を強く連打。一気にBrotzmannの音と共鳴する。なんとなく嵌められた気分になる。

2ndで和太鼓奏者が加わる。太く圧力のある音が、うまく羽野の音と交わる。当然リズムはかなり強靭な状態。Brotzmannも少し霞む。それでも引く事なく演奏が続く。マーチを思わせるリズムが出てくると、Brotzmannの音がAylerのように聴こえる。この人のどこかに、何かゴスペルを思わせるものが絶対にある。

結局終演の頃には満足したオレがいて、こういうモノがやはりライブの醍醐味だと思ったりしている。羽野は決してオレの好きなタイプの演奏者ではない。だけど、人とは違う個性があって、そして時折オレの耳を殴るように捕まえる。厄介な人かもしれない。

和太鼓の人の名前は知らないけれど、かなり迫力のある音で、Brotzmannと絡む事に全く違和感が無かった。セッションにおける和太鼓というだけで少し見くびってしまったりするのだけど、それは間違い。その演奏者に即興的に音を出す力があれば、個性的な音を聴く事が出来る。

Brotzmannは、もう言う事無し。9月だか10月だかの来日を心待ちにするだけ。