Theo Parrish

Moodymannと同時期に耳にしたTheo Parrishは、Moodymannの音に虜になったオレにとっては、悪くは無いけれどイマイチノリきれないイメージが残る。それでもCDで新作がリリースされればそれを手にし、相変わらず同じ感想だけが残っていた。

レコファンCarl Craigの『Sessionsicon』を見つけた日にParrishの新作『Soundsculptures Vol.1icon』も同じようにディスプレイされていて、特に期待してないにも拘らず、『Sessions』と一緒にレジに持っていった。

『Sessions』も2枚組みだったけれど、『Soundsculptures Vol.1』も同じく2枚組みという構成。だけどこちらは純然たる新作で、少々注意散漫な聴き方でもOKな『Sessions』とは違って、これを聴くにはそれなりの集中力が必要。だからなかなか回数を重ねる事はできないのだけど、それでも印象に残った。

Moodymannの重く蠢くグルーヴは、ハウスという音楽からは聴いた事の無かったもので、それは新しい感覚でもあり、ハウスと言えばシカゴという決まったような法則から外れた事を意味するものでもある。Parrishの音はエレクトリックな鍵盤の音が印象に残るもので、同じデトロイトという場所から発せられるものであっても、そこにMr Fingers等からのハウスという音楽の連続性を感じさせるものになっている。『Soundsculptures Vol.1』はそのエレクトリックな鍵盤の音やアシッドな音にハウスの伝統を感じさせるけれど、宣材にあるように多種の音楽を内包していてる。まるでヒップホップでも始まるのかと思わせるオープニングやNik Bartschを思わせるジャズ、エレクトロ、テクニカルなフュージョンの様なベースラインを持ったもの、シンセの響きが70年代のニューソウルを思い浮かばせるもの等々、それらが2時間を越える中に散りばめられていて、Parrishというフィルターを通したエレクトリックな音の解釈によるアフロ・アメリカン音楽が繰り広げられている。









Theo Parrish 『Soundsculptures Vol.1』