Carl Craig

まるでシンセで生演奏でも繰り広げたのかと思わせるタイトルな、Carl Craigの新しいリリース『Sessions』は、自身の楽曲や他者の曲をリミックスしたものを収録したもので、メガ・ミックスで構成されている。言ってみれば、少し趣向の変わったベスト盤みたいなもの。

テクノと呼ばれる音楽が急速に注目を集めた頃から現在まで、この人が常に注目を集めざるを得ない理由がここにあるのだけれど、それが足枷になるからか、いくつもの名義を使い分け、この数年はオリジナル・アルバムという単位でのリリースも途絶えている。テクノは1枚のシングルが重要な音楽ではあるけれど、それをシングルの寄せ集めとは違うアルバムで聴かせるという事で成果を挙げたのがCarl Craigだったと思う。それを考えれば今の状況に個人的には不満があるけれど、それもこれもこの『Sessions』に収録されたものが今でも魅力的だからで、当面は時々これを聴きながら、新しいアルバムを待つ事になる。









Carl Craig 『Sessions』