Les Liaisons Dangereuses

今夜は熟考の末、下北沢のLady Janeへ。もちろんライブ鑑賞。Marco Cappelliを聴きたくて行く事にした。Cappelliについては、なんとなく名前を知っているぐらいの知識しかない。それでも聴いてみたいと思ったのは、どれかのライブでもらったチラシにExtreme Guitarという改造ギターを扱うと書いてあったからで、そういうものはぜひ見てみたいと思ってライブに行く事にした。本当は明日のGrid605でのソロ&今堀恒雄とのセッションに行くつもりで、予約のメールを4/11に出したのだけど、今日まで返事が来ない。前回行ったときに何か嫌われるような事したっけ?と考えたけれど、恐らく気が付かないうちに何かやってしまったのだろう。ある意味営利目的じゃないところで「お前は来なくていい」と思われたら仕方が無い。でもそれならば、せめて「お前は来るな」という返信ぐらいあってしかるべきだと思う。まあ、いいさ。

という事でLJへ。実はここには初めて足を運ぶ。ここは本来はバーで所謂ハコではないけど、どういう風にライブを聴く事になるか想像が出来たし、さらに、ここにまつわる色々な話を聞きかじっているので、なかなか足がむけにくかった。この間の酒井俊さんのライブでも、「LJのオーナーは・・・」と言ってたしな(もちろん冗談で言ってるのだけど)。でも今夜は意を決して行ってきた。大げさ。

今日はバンドネオン奏者の小川紀美代さんがCappelliのセッションの相手。だけど1stは各々のソロ演奏。実は何よりソロ演奏が聴きたいオレとしては望んでいた展開。

Extreme Guitarというのは、エレアコなギターを右利きの人が普通に構えた時に、右下から左上に8本の弦が張られたものだった。普通のネックにつながっている弦の下をくぐってちゃんとホールを通過している。その弦は基本的に押さえる事は出来ないので、弾く事で音を発する。弦が短いからその音は硬く、だけど奏法の関係上ハープ的な音色にも聴こえる。そして見た目にも面白い。

まあとにかく、そういうギターを使ってCappelliは演奏する。勝手にフリー・インプロな演奏をすると思っていたし、それを期待していたのだけど、実際は1stの最初の演奏以外は殆ど譜面が基本になった演奏。だけど、アグレッシヴな音も散りばめるし、ギター奏者としてのテクニカルな部分も見せ付ける。音の取り扱いがセンスのいいギタリストだと思った。エフェクトやリアルタイム・サンプリングも使うけれど、それを駆使というより、必要なタイミングだけで使う。その選択は的確で、アヴァン的な音やフリー・インプロを好まない人でも、Cappelliの演奏は受け入れられるだろう。そう言いきる事が出来る演奏を聴かせる。

よくよく考えてみると、バンドネオンをライブで聴いた記憶は無い。もしかしたら聴いているのかもしれないけれど、記憶が無い。だから小川さんの音を聴く事も実は楽しみの一つになったし、その音色は、雰囲気を伴った音である事を再認識した。バンドネオンといえばAstor Piazzollaぐらいしか頭に浮かばないのだけど、その記憶から外れる事のないその音色は、それだけで説得力がある。じっくり耳を澄ませると、高い音で単音でメロディーを爪弾くと、ハーモニカと近い音を持っていると思った。蛇腹をガーッとやって強い音が出るときも、どこか人懐っこい音がある。

2ndのセッションも書かれたものを演奏していたけれど、Cappelliのセンスのいい音の出し入れと、小川さんのバンドネオンの響きに心地よさを感じ、あっという間に時間は流れていた。




Grid605の偉そうな姿勢については冗談なので真に受けないように。多分、単純にオレのメールを見落としているだけだと思う。オレももう一度確認のメールを出せばいいはずだけど、そういう事をしないのがオレの性分。多分Grid605では今夜とは違った音が聴かれると思うので、足を運ぶ皆さんはお楽しみに。テクニカルな部分でも、かなりのものを聴く事が出来ます。オレは今夜の演奏で満足。