ヒカシュー

GW前、数人の知人に「GWはライブ通い詰めだろ?」と言われた。だけど残念ながら、このGWはイマイチ食指をそそるものが少なく、そのせいで『I'm Not There』を見に行く余裕まであった。そんな状態なのに今夜は見たいものが重なるというもったいない日。O-Nestで『ECD × イリシット・ツボイ × 久下恵生』というライブ。以前のセッションがCDにもなっているこの組み合わせの興味と、いまだにライブのECDを知らないオレにとって、ハコとヒップホップの場ではないという事を考えれば、今回ほどのチャンスはそうそう無い。だけど結局クアトロのヒカシューを選んだ。現時点のオレの趣向を考えれば、ライブで多々耳にしてきた巻上公一のパフォーマンスや1年ほど前のマキガミサンタチの印象に加えて、ヒカシューの鍵盤担当の清水一登にも良い印象が残っている。しかも前座に灰野敬二という事で、トータルとしてこっちを選んだ。

ライブ開始は19:00という事で、もぎりを通り抜け18:58にクアトロの扉を開ける。またしても演奏が始まってやがった・・・。

演奏しているのはもちろん灰野。だけど、ギターでもパーカッションでもヴォイス・パフォーマンスでもなく、卓モノを使っている・・・。打ち込まれたようなリズムがあり、民族音楽的な音を使った上モノ。まるでChari Chariのデモを聴いているような気分・・・(これ以上の感想は差し控えます)。

20〜30分程の灰野の演奏が終わり、それにかぶせるようにヒカシューの演奏が始まる。この構成はなかなかいい。しかも灰野がプラスされた編成。だけど残念ながら、今夜のライブは個人的にはあまり楽しめなかった。最初に書いたようにヒカシュー周辺の音への印象と、『転々』の印象が良かったという記憶がある。でもなぜか楽しめない。バンドの演奏力の高さはよくわかったけれど、何かがオレには楽しめない。それが何なのか、ライブ中に気付く。オレは巻上の歌詞を楽しめない。ユーモアを携えた歌詞に、オレは全然面白いと思えない。オレとは感覚のズレがあって、こればかりはどうしようも出来ない。音の好みのズレはそれなりに受け入れてきたつもりだけど、歌詞というものはそれが難しい。今まで見てきた巻上のパフォーマンスは、ハッキリとした言葉を伴ったものではなかった。だからそれを、歌としてオレは聴いていなかった。だけど言葉があって、それが歌詞として響き渡ったときに、オレにとって、巻上の言葉は面白いものではないという事がわかった。なぜ『転々』でそれに気付かなかったのかわからないけれど、よく考えてみれば昨年リリースされた『入念』も発売直後に買ったくせにインプレを書く気になれなかったし、『I'm Not There』を見た帰りにレコファンで『生きること』も買ってきて1度聴いたのだけど、あまり楽しめなかった。

リズムがハッキリしている割に、あまり体を動かす気になれなかった。他の客はそれなりに体が動いている感じだったけれど、オレには無理だった。先週のParaの印象が残っているという事が関係しているかもしれない。でも、スタンディングでリズムを楽しめない演奏は辛い。

個人的には残念な結果になったけれど、好みというものは仕方が無い。今後ヒカシューの単独ライブに行く事は無いけれど、30分ほどの演奏ならば楽しめると思うし、マキガミサンタチは機会があれば見てみたい。

まあ、もしかしたら今日のオレのコンディションが関係しているかもしれないけど、今のオレの本音はこんなところ。




クアトロもビルごとリニューアルという事で、クラブクアトロも今月一杯で一旦営業が止まる。Frictionのライブの日にはReichを見るので今夜がリニューアル前の最後のクアトロだった。ここはバーがイマイチで、最初のドリンク・チケットで買う1杯と、追加で買うドリンクのカップのサイズが違うというセコイまねをしてくれるし、今ではメニューも異常に少ない。さらにどうしようもないくらい邪魔な左側の柱とか、決して良いハコだとは言えないけれど、ここでいくつもライブを見てきたことを思い出せば、感慨深いものがある。

まあとにかく、リニューアル後はバーだけはもう少しなんとかしてくれ。後発のUnitの方がバーのお兄ちゃんも男前だし愛想もいいしアルコールもうまい。スーパーデラックスほど充実して無くてもいいから、少なくてもUnitに並にはなってくれ。