Pete Rock

好きも嫌いも無くて、気が付くと当たり前に聴いていたPete Rock & C.L. Smooth。当時、「大人のヒップホップ」みたいな事が言われていた。それはPete Rockの作るトラックが、ジャズやソウルなどをサンプルネタにしていた事から来ている。だけどビートは問題なくヒップホップらしさが溢れていて、特にアダルトな音だとは思わなかった。

このチームが解散した後だったか、C.L. SmoothがDJ Krushの『迷走』のリードトラック「Only the Strong Survive」にラップで参加。この曲は今でもオレの最も好きなKrushの曲、或いはヒップホップというジャンルにおいて、最も好きな曲の1つ。そのせいでPete Rock & C.L. Smoothというチームの印象はC.L. Smootになっていた。そして98年、やっとPete Rockがソロ作『Soul Survivor』をリリース。それまでよりも音が硬い印象が残ったけれど、それでも質の高いモノを聴かせてくれて、文句を言うような代物ではなかった。その後DJ作品がメインのレーベルから『PeteStrumentals』がリリースされる。これはインストが多く含まれた作品で、Pete Rockというミュージシャンの作るトラックを骨の隋まで味わう事が出来る。そして『Soul Survivor II』とそのインスト集『The Surviving Elements: From Soul Survivor II Sessions』がリリースされるのだけど、その間にオレはたまたまPete Rock実弟InIの作品を手に入れた。これは現在では『Lost & Found: Hip Hop Underground Soul Classics』としてリリースされているのだけど、元々95年にリリース予定だったものがお蔵入りしていたもので、オレが手にしたのはブートなのかもしれないのだけど、このアルバムがどうしようもない程カッコよく、この辺りでやっとオレはPete Rockは非常に優れたプロデューサーである事に気付く。話が前後したけれど、『Soul Survivor II』がリリースされる頃にはPete Rockは個人的にDJプレミアと同格の存在になっていた(Krushは別格)。

NY's Finest』は『Soul Survivor II』から3年ぶりのリリース。期待は大きかったけれど不安もあった。だけど、久々に繰返し聴いてしまったヒップホップのアルバム。どこを切ってもヒップホップなこのアルバムのビート(ダブ的なレゲエのトラックもあるけど)を聴いて、虚飾の無いこのビートに、オレの感情はただ酔う事しか出来ない。









Pete Rock 『NY's Finest』