大友良英 / 山本精一

久々のライブ鑑賞。向かうのはいつものようにピットイン。今夜と明晩が大友良英の2daysで、初日は山本精一とのデュオ。関西あたりでこのデュオでライブがあったのをうらやましく思っていた。チケットはぴあで予約していたのだけど、今日の朝になってまだ発券していなかった事に気づき、仕事に行く途中に発券しようと9:00にファミリーマートに行ったけれど、発券が10:00からしか出来ないという事実に愕然とし、結局ピットインに向かう時にファミリーマートを探して発券という、ギリギリな行動になってしまった。

今夜のライブは3セットという構成である事を、演奏が始まる前に大友が告げる。まあ、セットを短く構成していくのだろうと思ったし、実際そういう事だった。

1stは譜面有りの演奏。ジャンルが特定しにくい浮遊感のある曲が演奏されたり、Keith Roweの『The Room』を思わせるようなギターのトーンだけで聴かせるようなものも演奏された。そしてなんと、大友の歌声入りの演奏がセットの最後に・・・。すみません、少し笑ってしまいました・・・。これまでにもEmergency!でコーラス的な歌声の披露はあったけれど、ちゃんと歌っているのは初めて聴いた。それもそのはずで、後のMCで山本が「初めて歌った」と言ってネタにしていて、だからオレだけじゃなくて皆が人前で歌う大友を初めて目の当りにした瞬間だった。

で、2nd。ハーシュ・ノイズの様な演奏でスタートする。こういう音のイメージが大友にも山本にも無いので、以外な一面を見た気がした。それでも、ピットインという場に来た客という事を考えてか、大きな音ではあっても必要以上な音ではなく、バランスの取れたものだった。まあ、ハーシュ・ノイズから得る事の出来るどうしようもないカタルシスまでは無かったけれど、あの音量でそこまでは望めない。その次はグラデーションの様なフィードバックによる演奏。大友と山本の音が付かず離れず音を撒き散らす。その音の散り様を聴いて、弱音系があの音量で演奏する事によって表現したものを、それなりの大きさの音で表現しているように思った。恐らく現在の最も前衛的な音だと思う。

ちょっと長めの休憩の後の3rd。ここではアヴァン寄りのセッション。最初の演奏は大友がドライブするコード・カッティングでグルーヴを作り、山本が攻撃的な音を炸裂させる。ロック的なニュアンスの強い演奏だった。続けて如何にもアヴァンな演奏があって、本編最後は美しい旋律を持った曲が演奏される。この曲が徐々に姿を変え、終盤には音がピットイン中に敷き詰められる。だけどその音はメランコリックなものを感じさせ、Fenneszを聴いているような気分になった。

アンコールは短めに1曲演奏するのが大体だけど、今夜は2曲演奏。で、2曲目、山本のしつこい攻撃で再び大友が歌う羽目に・・・。しかも歌うのは「座頭市」。明日のライブで演奏される予定の曲を、大友が歌う。1stバースを大友が歌い、2ndは山本が歌うという構成。その山本が歌っているのを聴きながら気が付く。オレは、山本が歌っているのをライブで聴くのは初めて。明らかに大友より余裕綽々なその歌声を聴いて、ロックのベクトルにも色々ある事を教えてくれた想い出波止場が山本のバンドである事は、山本の歌声がその理由なんじゃないかと思った。