Satoko Fujii MA-DO

昨夜は今年になって初めての、藤井郷子さんのライブに接する機会。昨年の11/18の時の面子がSatoko Fujii MA-DOというバンド名になったらしく、その名前でのライブ。郷子ねーさんのピアノ、トランペットの田村夏樹、ベースの是安則克、ドラムの堀越彰。

1stが4曲、2ndが5曲の演奏だった。それぞれのセットの最後の曲がCD等でも聴ける曲だけど、それ以外はタイトルも付いていないような新曲。だけど、基本的に郷子ねーさんらしい、印象的なテーマを持った曲が多く、特にMCでも難曲と言っていた2ndの3曲目のテーマはかなり変態的。でもそういう曲でも、単に難しそうな曲という印象に終わらせないところがセンス。ライブでの演奏は初めてだったようで、「途中まではうまく行っていた」との事だったけれど、どこら辺からが納得行かない出来だったのか、全くわからなかった。個人的に最も惹かれたのは、その次に演奏されたバラッド。バラッドというとどうしても愛だ恋だのものを連想しがちだけれど、そういうものとは違うもので、リリカルな印象もありながら、甘く流れない。またしても郷子ねーさんの書く曲は良いということを再認識。

このバンドでの郷子ねーさんのピアノは他のどのバンドの時よりも音の主張が強い気がした。他のバンドでもグリグリ行くけれど、オケではあれだし、カルテットではリズム隊を暴れさせる事を主眼にしている感じもある。だけどこの新しいバンドでは、カルテットほど主張の強くないリズム隊を従える事によって、必然的に郷子ねーさんの音も浮き上がってきたという事も言えるのかもしれない。

是安はバッキング時には堅実な感じなのだけど、イントロや演奏中のソロでは、響きのいい音でベースの特権を利用。

前回はあまり印象に残らなかった堀越。だけど昨夜、そのドラムを聴いて、パーカッシヴな叩きをする人だと思った。プリミティブ寄りという印象ではないのだけど、でもそういう音も当然知っていて、それをうまく取り入れている印象。ドラムセットに、タムやスネアと並んで個人的には初めて見たようなもの(和太鼓の面の部分だけという感じだった)があり、その音やきちんと並んで固定されたベルの様なものを扱ったりと、一筋縄ではなかった。パワーヒッターとは違うと思うけど、繊細でスピードもあって、なかなか面白い。

田村はいつものように飄々とした印象で、郷子ねーさんの書いたテーマを当たり前のように吹きこなす。主張の強い音じゃないけれど、いつものように印象に残る。