Sten Sandell Trio + John Butcher

この間のSten Sandell Trioのライブの物販で手に入れたSten Sandell Trio + John Butcherの『Strokes』。演奏者のそれぞれの色んなCDが並んでいたのだけど、Sten Sandell Trioのライブだったので、そのメインのモノを手にした。

エレクトリックな音とピアノを扱うStenn Sandell。マットな響きがライブを思い出させるPaal Nilssen-Loveのドラム。堅実にベースの役割を果たすJohn Berthling。そして、フィードバックを使った特殊な奏法も用いて、フリーキーな音を自在にコントロールするサックスのJohn Butcher。

長尺な1曲目の「Study」は、少ない音数から演奏を立ち上げていく。中盤、全員が呼応して、一気に音をまくし立てる様に見せて、そうしない。焦らす。各々の音が浮き上がった演奏の後、終盤は渾然一体となった音を撒き散らす。2曲目の「Unsteady」ではヨーロッパ・フリーらしい厳しい音が紡がれる。全員で熱を上げる場面は無く、緊張感の有る演奏が「Study」と同等のトラックタイムで演奏される。2曲目に対するタイトルが意味ありげな終曲「Steady」は、短いエピローグのような演奏。普通にフリージャズっぽいという意味では、確かにステディな演奏かもしれない。









Sten Sandell Trio + John Butcher 『Strokes』




John Butcherについて書くのは初めて。というか、普段Butcherの音をよく聴いているわけではなく、CDがリリースされていても手に取ることは稀なので、こういう状態。だけど『Strokes』を聴いて久しぶりに手持ちのButcherの音を聴いていた。そんなところに横井一江さんのブログの記事にButcherの事が載っていて、タイミングがいい。そのブログにThe WireのサイトでButcherのMP3がフリーでダウンロード出来ると書いてあり、早速それをDL。DL出来るのは3曲。「Hamikton」はフィードバックされたテナーによるエレクトリックな音での演奏で、ErstwhileにPhil Durrantとの連名作がある事を思い出させる(持っているけど聴いてない)。「But More So (for Derek Bailey)」はサブタイトルから察すれば、Baileyへ向けての演奏なのだろう。音の表情は豊かながらもセンチメンタルな演奏。「Tragerfrequenz (opening)」はリバーブを効かせた演奏。こういう音を巧みに取り入れるのは、サックス奏者としては珍しいと思う。フリーDLなので、普段こういう音を聴かない人も試してみるべきだと思う。オレはお金払ってもいいと思うような内容だった。

久々にButcherの音を立て続けに聴いてみると、この人の技量は相当なものだという事に今更気づく。恐らくJohn Zornにも引けをとらない。前回の来日時はタイミングがあわずにライブに行けなかったけれど、今度日本に来る時はその機会を逃さないようにしなければ。