Altered States

昨夜は5日連続のライブ通い最終日。楽しい事とはいえ、ぶっちゃけ疲れないわけでもない。まあいい。最後は最も期待しているAltered Statesだし。

演奏は1stが2曲で大体40分ほど、2ndが3曲で50分ほど、そして短いアンコールという構成だった。企画モノ以外でこんなに曲数の多いASのライブというのは、オレは初めて。1曲の演奏時間もASとしては短い。音的にはアグレッシヴなロックという印象。別の言い方をすると、わかりやすい音だったと思う。例えば今までのASのライブは、もしASを知らない誰かが聴いたとしたら、はぐらかしがあるような演奏に戸惑うかもしれない。だけど昨夜の音は、ある程度誰が聴いても楽しめるようなものだったんじゃ無いだろうか? 唸り、走る内橋和久のギター。それを鼓舞する芳垣安洋。的確に、クールに、カッコいいグルーヴを持ち込むナスノミツル。文字にしてみると今までと変わらない感じなのだけど、何かが今までと違う感じがしながら1stの演奏を見ていた。

2ndが始まっても印象は変わらない。だけど1曲目の演奏が終わり、内橋が客の中にギターのピックを持った人がいないか問いかける。こういう場にはギター小僧みたいなのがいたりするのだけど、昨夜はそういう輩はいなかったようで、諦めかけた時にピックを持っていた客が内橋にそれを渡す。ピックを受け取った内橋が「ジャズ用のですね? ちょっとピックが小さい・・・」と言うと、芳垣がジャズ的なアプローチで演奏を始め、それにナスノも乗じる。当然内橋もそういう音を使い、ジャジーなASを見せる。そしてここで、やっとASらしいというか、内橋らしい音が出てくる。実は1stを見ていて、内橋が珍しく終始指弾きだった事には気付いていて、それがなんとなく気になっていたのだけど、ピックを持った途端、オレの思う内橋らしい音が出てくる。この音が出てくるとオレはASだと感じる。だけどそこでオレのイメージのAS的な演奏に変わったかと言えばそうでもなく、1st以上に掴みやすい演奏だったと思う。



今のASは即興で演奏するバンドなのだから、当然、いつも同じ演奏なわけは無い。だから昨夜の演奏はあれはあれで楽しめた。だけど、あの演奏が昨夜の気分から生まれた演奏なのか、それとも何か意図的に変えてきたのか、それともオレの思い過ごしで普段と大して変わっていないのかわからないけれど、そのせいで余計に結局次のライブが楽しみになる。厄介。




なんとなく内橋和久で検索をしてみる。すると、Improvised Music from Japanのサイトに内橋のインタビューがある事がわかり、早速のぞく。それを読んで、初めて内橋のバックグラウンドにECMがある事を知る。これは少し驚くと同時に、大きく納得できる事。オレが内橋のギターに感じる透明感というのが、ECMというレーベルの名前が出てきた事でつながった感じがした。ECMというレーベルはあまり好きじゃないのだけど、それでも避けて通れるわけはなく、なんやかんやとそれなりにECMのものを聴いている。だから自分なりにECMというレーベルの持つ音の解釈は持っていて、それが内橋のギターのと共通性が感じられて、勝手に一人で納得している。

John Abercrombieか・・・実は聴いた記憶が無い。今度何か聴いてみる必要があるな。