Two Quartets

今日も当然のようにスーパーデラックスへ。冒頭の日記的なネタ、ホントはなるべくやめたいのだけど、今日も書きたい。書かせろ。というか書く。

20:00開演にあわせて、部屋を出る計算をする。渋谷駅を19:41に出る都バス01に乗れば大体そういう時間にSDLXに着く計算。が、ちょっとした計算違いで渋谷駅のバス停に着いたのは19:43。焦る。隣の別の系統のバス停を見る。「六本木ヒルズ行」と書いてある。バスが止まっている。F*!#in'な名前のバスに乗りたくないけれど、背に腹は変えられない。これも多分六本木六丁目に行くはずだと思い乗る。バスに乗っている間、停留所をチェックすればいいものを、余計な事を考えてしまい、西麻布まで来た。この次が六丁目。ところが西麻布を出た途端、「次は終点六本木ヒルズ」とアナウンス。しくった。が、仕方が無い。近いからいい。でもこれでとうとうオレも六本木ヒルズに足を踏み入れてしまう。不覚。だけど施設内には入らずにすむだろうからまだいいだろう。などと考えていると、結局六本木ヒルズの施設内のバス停に着く。イラついたけれど、建物内に入らなければいいと思った。が、このバス停から建物に入らずに外に出られない事に気づき愕然とする。マジでF*ck。というかS!ck。仕方なく中に入り、入ったところの反対側にも出入り口があり、もしかするとそこから出られるかもしれないと思い向かってみたけど、結局同じ。あきらめて引き返し、エスカレーターで上に。ちょっと上にはさっきすれ違った、この寒いのにかなり短いスカートのお姉ちゃん。のぞく気持ちはゼロでも、そう思われるのが癪だと勝手に想像し、上がっていくのを少し待ったけれど、焦る気持ちがその時間を短くさせる。するとこう、のぞかなくても見える絶妙な距離。思わず目をそらす。小心者なわけだ。そんなこんなでやっと上に着く。とにかく速くここを出たいけれど、出口がわからない。うろつく。わからん。適当に向かってみても、あるのは店ばかり。焦る。もう時計のチェックもしたくない。なんだかだんだん怒りがこみ上げてくる。出口がわかりにくいなんてやはりここはSic#だ。かなり苦しんでやっと外に出たけれど、現在地がよくわからない。近くにあった適当すぎる地図を凝視。わからん。右か左か、ここは野生の勘に頼る。決めた。右だ。右に向かおうとして気づく。渋谷まではそうでもなかった雪が強くなっている。しかも、歩道はうっすら積もった状態。運が悪すぎる。それでも仕方が無い、生まれたばかりの子馬のような状態で何とか進む。そうするとなんとなく見覚えのある感じになり、右を選んだのが正しい事に気がつく。そして辿り着いたSDLX。金を払い中に入る。



既に演奏は始まっていた。だけどそれはHan Benninkのソロの演奏。メインの人のソロにも拘らず、セッションが始まって無くてよかったと思った。

その演奏を聴きながら少し落ち着く。少し間があって、セッションが始まる。1stのセッションは、ピアノの千野秀一とベースの井野信義に、このセットのみのギターの今井和雄。今日のオレの最大の目的は今井のギターを聴く事。Marginal Consortではなくて、今井のギターが聴きたかった。あのライブ以来、今井のギターをライブで聴きたかった。そして今夜聴けた。で、オレの1stの印象は今井の音しか残っていない。ある時期から気づきだしていたけれど、この人のギターはオレの好きなギターだ。持っている音源はたまたまHanとのデュオの『Across the Desert』だけだけど、これを聴いて、そして高柳スクールの唯一の卒業生であるという事を知って、Marginal Consortでのギターをほぼ使わない演奏を聴いて、絶対この人はオレの好きなギターを弾くと気づいていた。そしてやはりそういう音。もういい。今日のここまでのあれこれは、今井のギターを聴いた途端OKになった。これを聴くために多分どこかの誰かがオレに苦行を与えた。乗り越えて待っていたのはオレの好きな音。今井は、例えばBaileyほど厳しい音を入れ込んでくるわけではない。内橋の様に透明感のある音ではない。ジャジーな音もあれば、そっぽを向かずに全体として熱を上げる事にも貢献する。その音の選び、運びがいい。これはこの人の培ってきた音。だからどうしても耳はそこに向く。それでも途中で少なくても千野の音を拾おうとしてみた。だけど今井のギターの音に打ち消されている。ベースとドラムはこの際捨てた。リズムとして聴こえてきてくれればそれでOK。そうこうしているうちにセットが終わる。今井の音しか拾わなかったセット。でも、オレにはそれでいいはず。

2ndは今井と坂田明が入れ替わる。今年初の坂田の音。というか、オレ結構この人の音聴いているな。小柄な感じからは想像のつかないフリーキーさが持ち味だけど、それは当然健在。だけどピットインと音の響きが違うのか、ヴィヴィッドな感触は少し足りない。でも問題は無い。こういう状態なので、今度は千野の音も聴こえてくる。かなり派手。まあ1stでも少しは聴こえていたけれど、結構派手。なんとなく板橋文夫を思い出す。もっとクールなイメージがあったけれど予想外。そしてベースとドラムの音は、、、意識して聴けばよかったとも思うけど、今夜はいいという気持ちになっていた。

4人での演奏も終わり、セットが終わった感じはあったのだけど、そこに今井が加わる形になる。これは間を取らないアンコールなんだなと気づいた。そしてその演奏でも、結局オレは今井の音を拾い続けた。




2ndを聴いているとき、ふと、フリージャズとフリーインプロの違いという事が頭に浮かんだ。1stもフリージャズという印象が強かったのだけど、2ndを聴いている時に、1stはフリーインプロだったと思った。それは、1stでは皆無だった事が2ndではあったからで、それは2ndで坂田のソロの後、観客から拍手があった事。1stではそういうものは無かった。ソロの後の拍手というのは、世代による違いもある。それはそういうライブに行けばわかる事。今夜は雑多な客席だった。だから、ソロの後に拍手という意識がある客もいる客席だった。だけどそういう客に拍手をする余裕を余裕を与えないのがフリーインプロで、拍手をする余裕を与えてしまうのがフリージャズじゃないかと。もちろん、たったそれだけの一側面。だけど、フリージャズとフリーインプロの違いにはそういう面もあるんじゃないだろうかと、そう思った瞬間だった。