Theo Bleckmann / Ben Monder

Brad Shepikの『Places You Go』を見つけたのは、Theo BleckmannとBen Monderの連名作『At Night』を探した時だった。BleckmannとMonderの名前が出るとShepikの名前も一緒に思い出すのは、現在はErstwhileに関わっている座間裕子さんが『Out There』という雑誌にNYのアングラなジャズ・シーンの記事を書いたのを読んでからだと思う。その時にはShepikの事は知っていたはずだけど、BleckmannとBenderはその雑誌を読んで興味を持った。そしてこの2人で来日し、そのライブをピットインで見て、それからは興味の対象としてずっと続いている。

この2人の連名作は他にもあるけれど、それよりもお互いに個人名義の作品にも参加しているので、連名である事にあまり意味は無いような感じもある。で、この『At Night』も夏ごろに手に入れていたわけだけど、その時はイマイチしっくりこなかった。それが今聴き直すとしっくりくる。今の時期のオレの気分と、この音が当てはまるということだと思う。

アコースティック・ギターを弾く時のMonderのアルペジオは印象が強い。奏法も音も繊細だけど、弱くない音。アルバムの冒頭の「Late, by Myself」や「Animal Planet」でのその音を聴いて、それだけでOKな気分になる。だけどエレクトリックなギターでの繊細も個性的だし、「Carbon」や「Swarm」、「Apocryphon」のノイジーと言える音のコントロールは、Sigur Rosに代表される北欧の持つ透明感と双璧。

「Hymenium」を聴いている時になんとなく、「At Night」でそれより強く、Bleckmannの歌声とRobert Wyattの歌声が似ていると思った。伸びやかだけど儚い感じもある高い男声。声自体のアクが強いのはWyattの方だけど、透明度はBleckmannの方に強く感じる。Wyattの新作の『Comicopera』は購入時にイマイチな印象が残っていたので、近いうちにもう1度聴きなおしてみるつもりだったけれど、『At Night』はそのタイミングを遅らせる。









Theo Bleckmann / Ben Monder 『At Night』