Sten Sandell Trio

今日はライブ当日の投稿。

Sten Sandell Trioのライブがあると知って、実は全然知らないユニットだけど、ドラムがPaal Nilssen-Loveであると言う理由だけで即、見に行く予定にする。東京では2日間の予定。2/3がスーパーデラックスで、翌日がピットイン。SDLXは日曜の夜だし、ピットインだけでいいという判断でピットインを予約。だけどライブが近づくにつれ、なんとなく気になってライブの情報を収集。するとSDLXでのライブはエレクトリック主体で、ピットインはアコースティック主体という、異なった意匠でのライブである事を知る。それを知ったのでSDLXも予約した。そして今日、起きると妙に寒い。「まさか雨?」と思い外を見る。雪。頭が痛くなった。出かける頃には雨すら降っていなかったのだけど、もし予約を入れていなかったら行かなかったかもしれない。雪は止んでも道路が微妙に凍結しているので、そこを歩くのはオレにはホントに苦しい。だけどまあ、気合を入れて出かけた。なんとか転ばずにSDLXに辿り着く。何度か滑って危ない場面はあった。しかも、渋谷からのバスの時間がギリギリだったので、渋谷駅の構内だけ若干ダッシュ。バスに間に合ったけれど、よく使うこのルートにこんなに疲れたのは今日が初めてだった。



肝心のライブ。Sten Sandell Trioについてはネットで少し調べた。リーダーでピアノ&エレクトロニクスのSten Sandellはスウェーデンの人で、しかも結構フリーインプロでは名の通った人(らしい)。期待大。ベースのJohan BerthlingはTapeというユニットのリーダーでスウェーデンの人。「ほお」と思ったけれど、残念ながらそのTapeというユニットについもて全く知らない。まあいい。Paal Nilssen-Loveは今更。この人が叩くのなら、どんなユニットでも見たくなるのは仕方がない。と、言い切りたくなる人。

まず気になるのはSandellの音。エレクトロニクスなセットと言う事だったので勝手にシンセ的なものを使うのかと思っていたけれど、それはエフェクター類の様な物のことで、それがアップライト・ピアノの上に置いてあり、それを操作して音を出す。自らの声もマイクを使ってエフェクトしたりする。さらにはピアノを叩いて音を出したりする。ガチガチにヨーロッパ・フリーな音を予想していたオレの予想を裏切る様な、ユーモラスと言える音もある。なんか妙に楽しい。勿論ピアノも触る。その音はやはり厳しさがある。特に左手でピアノの最低音と思われるキーを繰り返す音は印象深い。

Berthlingはアコースティックなベース。ピッチカートとアルコを使い分ける。強烈なフレーズを挿入するタイプではなく、SandellとPNLの間を生める印象。だけどこの人がブツ切りな音の入れ方をする時はそこに耳が向く。重鎮のSandellと、いまやイケイケのPNLを相手にして引き付ける音を出すのだから、優れた演奏家である事は言うまでも無い。

今日のPNLは金物の音の印象が強い。そういう音を扱うときのPNLはあまり感心した事はないのだけれど、今回は違う。それらの音のエッジが強くてカッコいい。こういう金物を使われるとどうしても芳垣安洋の様なプリミティブな響きを求めてしまっていたのだけど、それとは違う音の響きでも聴かせどころがある事を気づかせる。フリー・ジャズ的なアプローチが印象の強い人だけど、今夜はフリー・インプロ的な印象を感じる事が出来た。




今夜のライブ、1時間半に満たない時間で終わった。当然のように2セットだと思っていたのだけど、構成としては1セットだった。2曲演奏が終わった後で休憩かと思ったけれど、そのままもう1曲演奏。時間をチェックしていなかったけれど、なんか1セットが少し長い構成なんだなと思った。そして3曲目終了後、ここで休憩かと思ったら、PNLがちょろっと話し、「じゃあ短い演奏を」みたいな事を言ったので、「もしかしてこれってアンコール?」と、ちょっと驚く。そしてそれが本当にアンコールだった。ライブの終了は21時ちょい過ぎ。19:30から始まったわけではないので、1時間半に満たない時間だった事になる。別にその事に文句は無い。というか、これぐらいの時間でもオレには満足できる内容だった。いたずらに長いよりこれぐらいの長さが理想的。日曜だからこういう構成なのか、それとも今日の天候を考えての構成なのかわからない。だけど、出来れば演奏が始まる前にこういう構成である事をアナウンスして欲しかった。それは、今日は東京エールをチケットの引き換えで手にした一杯だけでしか飲めなかったからで、こういう構成だとわかっていれば、演奏前にもう一杯東京エールを買っていた。



明日はピットイン。まあ多分明日は当日の投稿は出来ない。でも今夜も40人ぐらいしか客はいなかった。何でこの演奏にこれしか人が来ないのだろう? 本当にもったいない。多分明日もそんなに多くの人が来るとは思えないので、時間のある人は行ってみた方がいいと思う。とにかくジャズとかアヴァンとかフリーとかそういう演奏が好きならば、PNLはライブで聴いたほうがいい。オレはCDでしかPNLを知らない間はPNLの凄さはわからなかった。もう一つ加えれば、AtomicのライブでもPNLの凄さは感じ取れなかった。だけど昨年のPNLのライブを見てからから今日まで、この人は現時点で最も注目するべきドラマーの1人である事を確信した。