Jose Antonio Mendez

MMの各ジャンルのベスト10を見ながらCDを物色するのはオレの年始の恒例。ロックやヒップホップは相手にしないのだけど、ジャズとワールド・ミュージックは参考にする。特にワールド・ミュージックは年に数枚しか購入しないので、ここで選ばれたものを購入する事が多い。そういう人は結構多いようで、amazonなんかで商品を探すと同時購入のものがベストに入っている作品だったりするし、タワレコなんかではMMのベスト10の作品でコーナーを作ったりしている。

それでもよく知らない作品(ジャンル)を購入するのだから、慎重になる。失敗するとボサノヴァの様にそのジャンルに対して奥手になる。まあ、そうなってもいいかという気持ちも持ちながら手を出す。

キューバの音楽もなかなか興味を持ちにくい対象だったけれど、Kip Hanrahanを聴く事によっていくらか抵抗感がなくなったし、YusaやTelmaryの様な若手のミュージシャンには興味がある。だけどキューバの代表的な音楽とされるソンやマンボやルンバといったものは、実はあまり聴いていない。さらにフィーリンは興味の対象にもなっていなかった。それでもJose Antonio Mendezの『Canta Solo Para Enamorados』がMMのベスト10に入った事、そしてその作品がレコファンにもあった事で、まあとにかく聴いてみようと思った。

ブラジルのボサノヴァに通ずるという説明を見たけれど、確かにその通りと思える内容。だけどボサノヴァというよりも、その当時のアメリカのジャズ(ヴォーカル)の影響が大きいと言った方がわかりやすい(ボサノヴァもそういう部分が多分にあるけど)。ムーディーな夜の音だけど、それが英語では無い言葉で歌われ、ジャズとは異なった歌唱。そこにジャズ・ヴォーカルとの違いを感じる。アルバムの終盤に収録されているライブ音源はギターの弾き語りというスタイルでの演奏なのだけど、この音源はスタイル的にボサノヴァというかJoaoとの親近性を感じるけれど、囁く様な歌というものでもなく、ギターがリズミックでもない。音楽というものが純粋培養なものではなく、色んな要素を含みながらコアになる部分が出てくる事によって、一つのジャンルとして独立したものになるという事を示しているかのような作品。

流石に音質は良くないので、最近の録音のフィーリンの音も聴いてみたい気持ちになってきた。









Jose Antonio Mendez 『Canta Solo Para Enamorados』