Tsunematsu Masatoshi Group

しつこくFrictionつながりで。ホントにこれで終わり。

Frictionファンにとって、恒松正敏は特別な意味を持ったギタリスト。あの『Friction』や『79 Live』、『Live, Pass Tour '80』のギターが恒松。初期Frictionの持っていた鋭利な感覚は、この人によるものが大きい。だけど、それは恒松自身によって生み出されたものじゃなく、Reckのコントロールによってのものである事は何かで目にしていたので、個人的にはFriction後の恒松に特に興味は無かった。だけど何かの勢いでE.D.P.Sの『Last Live』を手にした。でもそれはオレにはあまり聴き所が無く、多分一度聴いて放っておいている状態。それでも昨年、『Object of Desire』を手にしてしまう。それはFriction再発プロジェクトの流れとしてという事と、再始動したPassレーベルの第1弾であった組原正の『Hyoi』をオレが気に入ってしまった為、Passというレーベルが信頼に値するという判断が加わっている。ジャケットも好みだし。

だけど正直言うと、初めて『欲望のオブジェ』を聴いた時、第一印象は決して良くなかった。ハッキリ言っておけば、恒松の歌というのは上手くもなく特に個性的でもない。どちらかと言えば、ロックのヴォーカルとしてはあまり望まれるタイプでは無いはず。歌の入った音楽というのは、どうやっても歌の持つ印象が中心になる。そこに魅力を感じなかったから、「良くない印象」という事になる。だけど、演奏は予想外にカッコよく、単純にロックだけの音とは違い、恒松のミュージシャンのキャラクターからは想像できなかったアヴァンに通ずるものがある。さらには、ホーンが加わったトラックなどもあるのだけど、これもダサい音とか渋い音にならず、なんか妙に嵌っている。歌がイマイチという印象を持ちながらも、何度も繰返しきいてしまい、いつのまにかその歌も「まあ、ありかも」と思えるようになった。なんとなくPantaぽかったり、町蔵風だったり、中島美幸まで思い浮かばせるところがあるのだけど、でも、それらもひっくるめてOKな状態に変わってしまった。









恒松正敏グループ 『欲望のオブジェ』




ここでの恒松のギターを聴いていると、ベースとドラムでロックしているあのバンドにフィットする音だと思うんだけど。恒松がそのバンドに加わることで、色々な事が解決されると思うのだけど。