Wu-Tang Clan

今時の若いBな子にとっては伝説的ユニットと思われるWu-Tang Clan。昨年末リリースされた『8 Diagrams』は、WTCの面子が久しぶりに揃って作り上げたアルバム。危険分子だったOl' Dirty Bastardは既にいないのだけど、WTCの音楽性そのものは元々RZAのものなので、音に大きな影響はない。だけど、ここにきてこういうアルバムを作ったことは、そのODBの不在がひとつの要因になっているはずで、なんとなく皮肉に感じる。

RZAが作り上げたトラックに、Method ManGhostface Killah、GZAにRaekwonといった、そろぞれの名前で活動できている連中の声が乗る。そういう事実がわかっている時点で、クオリティーがどうのこうのと考える必要はない。だけどこれは、既に時代というものとは関係のないところにある音だと思える。それは、もうヒップホップが特に気にならないオレがこの作品に心地良さすら感じるからで、もしこの作品が時代の音を持っているのなら、成熟か停滞か、アメリカのヒップホップはどちらかに動いているのかもしれない。









Wu-Tang Clan 『8 Diagrams』