The Duo

鬼怒無月鈴木大介によるユニットがThe Duo。捻りも何もないネーミング。そのユニットでリリースされたアルバムのタイトルも『The Duo』。そのやっつけ感に飽きれるのと同時に、清清しくもある。

鬼怒も鈴木も、このブログでも名前が出てきた事がある。鬼怒に関してはライブでもその音に接しているし、その印象はギタリストとしてのスキルはオレが見たことのあるものでは最も優れた人であると言えるほどのもの。鈴木はクラシック系のギタリストだけど、武満徹に認められたという大きな宣伝文句の持ち主。そんな2人がデュオでアコースティック・ギターを弾く(数曲鬼怒がエレキも弾く)。しかも、選曲されたのは所謂ポピュラー音楽の名曲ばかり(オリジナルもあるけど)。聴く前から想像可能なぐらい、文句のある仕上がりになる事は考えられず、実際に手にして聴いてみても、完璧な内容。これ見よがしなテクニックのひけらかしでは無く、丁寧に演奏が行われている。アコギを触った事があるものならば、ふらつき無くこれだけ繊細に音を出す事の難しさはよくわかるはず。

だけどこの作品の印象はそれだけでもある。ここに強烈な印象は無く、どこかでBGMとして使われていても気になって耳を傾ける事も無いはず。唯一、「Stone Flower」には注意を引きつける音が入っているけれど、それ以外は印象に残りにくい。でも、ここまで弾けるという事に対する羨望の眼差しも持ってしまう。この作品は相当なギター好きと、ギターを初めたばかりの人が教科書代わりに聴くのに向いているかもしれない。









The Duo 『The Duo』