Bugge Wesseltoft

久々感のあるBugge Wesseltoftの新作『IM』は、いつものようにJazzlandからのリリース。輸入盤が入荷されているのをDisk Unionで見かけた時には購入せず、日本盤が出た時もレコファンで見つけなければ購入は先延ばしにしていたと思う。なんでそうなのかというと、なんとなくとしか理由はない。

イマイチ購入意欲が沸いてなかったからでもないと思うけど、いや、やはりそのせいかもしれないけれど、なぜかあまり印象に残らない作品という認識だった。ピアノの響きとエレクトリック、或いはサンプリングによる音の挿入、それがMono Fontanaの『Cribas』との類似点になっている事も大きい。『Cribas』が昨年の印象的な作品になってしまったせいで、『IM』は印象が弱くなった。だけど改めて聴きなおすと、この作品の空気感は嫌いじゃ無いし、小曲と言える「HIT」のピアノの弦を叩いたような音をループさせてフリー・インプロを思わせるピアノをのせたトラックは印象的だし、さらに「vidde」では、それをより厳しくしたような音に歌声を被せてくるセンスに聴き惚れてしまう。「FOT」もやはり厳しい音で、『New Conception of Jazz』シリーズの音を求めている人には辛い音。リズム楽器の音があるトラックでは、それに隙間を感じるのもいい。こうやって聴きなおしてみると、トラック単位では魅力的なものも見つけることが出来る。だけど、ヨーロッパ的なリリカルなトラックとエレピを使った曲が苦手で、少なくてもそのエレピの曲さえなければ、もっと早くこの作品のいいところを見つけられたはず。

まあとにかく、クラブ音楽的なリズム(手法)を導入する事によって一つの時代を作り上げたBuggeの作品は、そういうものであるから逆に今は聴きづらく、そこから脱却してみせた『IM』は今後もBuggeへの興味を持続させるものになっている。個人的には、先に挙げたフリー・インプロを思わせる硬質な音だけで作品を作ってくれると嬉しいのだけど。









Bugge Wesseltoft 『IM』