森山・板橋クインテット

1/2といえば、正月三が日の中日。だから今日はそんなに人はいないだろうと思い、ピットインへ向かう。2008年最初のライブ鑑賞。森山・板橋クインテットのライブ。森山威男の名前は当然知っている。CDも2枚だけある。板橋文夫はEmergency!との共演を見たし、藤井郷子が師事した人でもある。テナー・サックスの峰厚介はプーさんと共演したCDがある。これだけ揃えば新年一発目として十分だけど、実は何よりも林栄一が加わっている事に惹かれた。最も好きなアルト・サックス奏者の一人なのに、あまりこの人のライブを見ていないし、去年は一度も見る事が出来なかった。今年は最初に聴く事ができるのだから、なかなかいいスタートになる。ベースの望月英明という人は不勉強で知らないけれど問題ない。

ピットインに着く。開場してから結構時間が経っている。中に入る。人が一杯・・・。立見。計算外。まあいい。

演奏された音楽は、所謂フリージャズ。渋さ知らズなんかまで脈々と受け継がれてきている日本的なフリージャズといえる類の音。妙に元気がある音。峰のテナーの響きはCDなんかでは味わえないものだし、森山のドラムもパワフルでガンガンくる。周りが全員自分のグループを持つような面子だからか、ベースの望月はソロでも控えめだけど、この人までガシガシやると元気を超えて騒々しくなる。板橋は、まあ、ああいう人だからあれなんだけど、好みの問題で言えば今日のソロは飽きる。どの曲も同じように聴こえた。ドシャメシャなソロ。山下洋輔なんかと同じ。多分熱を帯びての演奏なのだろうけれど、個人的にはいただけない。そういうソロがとれない曲ではなかなかいい感じだったし、バッキングでの煽りも良かったのに。まあ今日は、新年一発目だから「普段より多めに」というサービスだったという解釈でいいのかも。そして個人的には林は別格。この人のアドリブは鋭角。Dolphyを聴いている様な錯覚。というか、明らかにDolphyフレーズをいくらか使っている。オレが愛して止まないDolphyが目の前で吹いているように感じた。

と、こんな感じ。このライブで、オレはホントに林栄一のサックスが好きな事を思い出した。ONJOから津上が抜けた時、林を面子に加えればいいのにと思ったことも思い出した。そして、実はオレが初めて買った日本のフリージャズのレコードは確かThe Trioという名前のものなのだけど、これは山下洋輔のグループでベースを弾いていたことのある沖縄出身の国仲勝男という人がベースを弾いている作品で、オレにジャズを聴く事を薦めたレコード屋で売っていて、試聴させてもらってから購入した。その時は国仲以外の2人の事は全く知らなかったのだけど、ドラムが小山彰太で、サックスが林栄一だったという事を知るのは、それを手にしてから何年も経ってから。オレの持っている森山の2枚のCDというのは『Mana』と『Over the Rainbow』という作品なのだけど、これも実は林が参加していたから手に入れたもの。年頭の決意として、今年は林絡みのライブを何本か見たい。




客ネタでこういう事を書くのは無粋だろうけれど、見ていて気分が悪かったし、殆ど誰の目にも触れないと思うので書いてみる。

休憩の時間に、森山のスティックをジャンケンで買った人にプレゼントという遊びがあった。オレは見ていただけでそれに参加しなかったけれど、「いい歳こいた大人ばかりだからインチキとかしないよな」と思いながらジャンケンの様子を見ていた。だけどそんな恥ずかしい大人がいる。負けてるのに続けてジャンケンに参加し、次も負けたくせに今度は自分の出した手を変えてそ知らぬふり。その次は後だし。あっけにとられてみていたら、結局そいつがスティックを手に入れた。ステージまで行ってそのスティックを受け取ったそいつは、自分が働いている店の名前まで言って、余計なアピール。如何にも水商売な見た目。ネットでその店を調べると・・・、遠からずというか、一応ジャズ関係の店。さすがにその店の名前は書かないけれど、そういう行動は恥ずかしくないのだろうか。実はそいつがジャンケンするのを見たのは偶然ではなくて、1stの間中何かと自分の連れに話しかけてうるさかったからで、こういう奴ってインチキしそうだなって思ったら予想通りな展開。

年始から嫌な気分になったけれど、こういう恥ずかしい人間にならないという、今更な教訓として受け止める。