My Favorite CD (2007 Best10+10)

今年も誰にも依頼されてなくても、勝手に考えて勝手に公表。本当にギリギリまで結構考え込んだ。昨年と同じく全てまとめてベスト10ということは難しいので、インストと歌ものに分割。追記で色々補足。

インスト編 (順位無し ABC順)












歌もの編 (順位無し ABC順)













昨年はライブを見たものは外すという足枷を自らに施した。だけど今年はそんな枠は外した。そしてFavoriteと言っているのだから、バランスを欠いても気に入った作品を選ばないと意味がない事に気付いた。以下、それぞれ簡単なコメント。


インスト編

Anima Mundi 『Primer Encuentro

現在の芳垣安洋の感性が色濃く出た作品。但しまだ完成系とは思わない。ちなみに続編の『Segundo Puente』のインプレの投稿を忘れていることに気付いた。同じセッションなので内容に差は無い。ジャケットは『Segundo Puente』の方が好み。


David TornPrezens

MMのジャズ部門で1位に選出されていたので、オレが選ぶのは当然といえば当然。手法に拘らない音楽の作り方というものがどれだけ音楽を興味深いモノにするかという事の手本であり、代表。


Derek BaileyStandards

コメントのしようがない。とにかく美しい音。


eRikm / Debi13 『Chaos Club

結構印象に残った作品。実験的な音の場の作品で、これだけ楽しいものは珍しい。


Hino-Kikuchi QuintetCounter Current

ジャズというスタイルであるけれど、ジャズのファンよりもアルゼンチン音響派を好む様な人達にこそ聴いてみて欲しい。


組原正 『Hyoi

今までこの人の音を知らなかった事を悔やむ。Baileyライクだといえるけれど、だからこそ惹かれる。出来ればグンジョーガクレヨンではなくて、この人のソロ・ライブが見たい。


Mono Fontana 『Cribas

アルゼンチン音響派というものがどういうものか今でもよくわからないけれど、この作品の音の質感が気に入っている。


Otomo Yoshihide's New Jazz Orchestra 『Live Vol.2 Parallel Circuit

ライブを編集して作品に仕上げるという手法を否定する人もいるようだけれど、それによって良い作品に仕上がるのなら文句を付ける理由がわからない。『Vol.1』よりも『Vol.2』の方が好み。


Sidsel Endresen 『One』

ヴォーカリゼーションだけど歌モノという感じではないのでインストとしてここに入れた。前衛的なヴォーカルというあまりいい感じのしない表現で申し訳ないけれど、そういう括りの中で最も歌心を感じさせる事が出来る人。だけど、このアルバムはヴォーカリゼーションの極北。


高瀬アキSomething Sweet, Something Tender

インプレ未投稿。ライブの印象が良くて手に入れたCDで、この音の感触は今まで避けてきたもの。だけど、今は心地良く感じる。


歌もの編

Black Francis 『Bluefinger

疾走感溢れる楽曲の魅力と、そうじゃない曲の持つ余裕な感じがいい。


Tha Blue HerbLife Story

悩んだ末にこれを入れる。今作へのオレの評価は高くない。だけど今年、言葉がストレートに響いてきた唯一の作品。まだTBHは混迷の時だと思う。でもオレはフォローする。


Carlinhos Brown 『A Gente Ainda Nao Sonhou

音楽に対するセンスみたいなもので、今年最も惹かれた。


Dee Dee BridgewaterRed Earth

異種の音楽を取り込んでいくという作業は、一歩間違えるとただの実験的な音になったり、どうしようもなくダサいモノになったりする。それを上手く混ぜ合わせたこの作品は、欧米諸国からの音というポイントだけではなく、アフリカやアラブのミュージシャンが越境しようとしている作品もあわせても群を抜いている。ちなみにMMのジャズ部門で今年の2位。だけどジャズとして聴く必要は無い。


Joe Henry 『Civilians

今年はアメリカの音というか歌の強さを感じる一年だった。そういう音の統括でもあるけれど、それらを無効にしてしまうような感覚もある。


Manu Chau 『La Radiolina

ロックが軽やかで強靭である事を証明した作品。


Shannon Wright 『Let in the Light

聴く度に音がすり込まれていく。過去作も聴く事に決めた。というかオーダー済み。


ShellacExcellent Italian Greyhound

この音でロックされたら無抵抗。


The Stooges 『The Weirdness

ファンだから選ぶのは当たり前。今年一番繰返し聴いたので、これを入れないとおかしいし。


Zap MamaSupermoon

立脚点は違うがDee Deeと音楽の向いている方向は同じだと思う。けれど、どちらかという選択はやめた。

インストは日本人絡みが半分になった。これは言葉というものを省いて選んだ結果なので、個人的には喜ばしい。その反面、ライブではかなりやられたノルウェー勢がSidselだけになってしまった。今回はライブを見たものは選出しないという枠は設けなかったけれど、ライブの印象に対抗できるだけのノルウェー勢の作品が無かった。最後まで悩んだのが高瀬アキのところ。ここはもう一つの高瀬アキ(with Silke Eberhard)の作品である『Ornette Coleman Anthology』(これもインプレ未投稿)か、Paul Motianの『Time and Time Again』か、Supersilentの『8』か悩んだ。Frisellのギターに惹かれているので、本当は『Time and Time Again』にするつもりだったけれど、そうなるとECMから2枚も選んでしまうので、それを避ける結果になった。

歌ものはギリギリになってTBHを入れた。それまでは日本人は入れていなかった。例えばPantaの『オリーブの樹の下で』には強烈な印象があるけれど、アルバムとしては評価しにくい。Likkle Maiの『MW』はかなり良い出来だと思ったけれど、言葉がオレに直接響かないので選びにくかった。オレの性別が女性ならLikkel Maiは絶対に入れていた。UAの『Golden Green』を外してよかったのか、今でも悩んでいる。日本人以外の候補で外したのはNeil Youngの『Chrome Dreams II』、Ray Daviesの『Working Man's Cafe』、Thurston Mooreの『Trees Outside the Academy』、Commonの『Finding Forever』、Timbalandの『Shock Value』、Bebel Gilbertoの『Momento』、Adriana Evansの『Normadic』、Jill Scottの『Real Thing: Words & Sounds Vol.3』、Angie Stoneの『The Art of Love & War』等々。

インプレを書いてないものが多々あるので、年明けからそれらを投稿予定。来年はCDの購入をもう少し減らして、純粋に10枚だけ選びたい。ではまた。