Hino-Kikuchi Quintet (日野=菊池クインテット)

プーさんこと菊池雅章の音はよく聴いているつもりだけど、それは殆ど90年代から現在に至るまでのもの。だから日野晧正と組んでいた日野=菊池クインテットの作品は、存在は知っていても聴いた事は無かった。それは日野というプレイヤーにオレが興味が無い事も大きい。だけど9月にリリースされた『Counter Current』は、単純にプーさんの新譜として手にした。

現在のプーさんの拠点であるNYで録音されたこの作品には、プーさんのピアノと日野のトランペットに加えてアルト・サックスのMichael AttiasとベースのThomas Morganという、個人的には全く知らないプレイヤーと、ドラムにプーさんの盟友Paul Motianが加わっている。

勝手な推測だけど、演奏される曲の多くがプーさんの曲である為か、ここでは皆がプーさんの音の作り方を意識した演奏に徹している。お互いの個性をぶつける事によって何かを引き出すのではなく、あくまでもプーさんの世界を表現しようとしている様に感じる。そしてそれによってプーさんのピアノの存在感はソロでの演奏の時より際立ち、選ばれた音は何気ない音ではない。バッキングで入れる音もそれだとは思わせない。ストイックにすら感じる音の配置は、音数の多いピアノよりも雄弁。









Hino-Kikuchi Quintet 『Counter Current』