芳垣安洋 / 曽我大穂 / 高良久美子 / ササキヒデアキ

昨夜からピットインで年末恒例の芳垣安洋のライブ。自然と足が向く。

初日の昨夜は1stを芳垣のソロ、2ndにCinema Dub Monksハナレグミで活動する曽我大穂高良久美子、さらに映像担当のササキヒデアキという面子でのセッション。個人的には1年ほど前の芳垣のソロ演奏に強い印象があるため、まず何よりも1stの期待度が高い。

色んな打楽器やそれを使って演奏される音楽に興味を持って音楽に接してきたであろう芳垣。多種のリズム・パターンだけではなく、打楽器の響きによる弱音部分があるからか、全体的な印象はストイック。鳴らされるビートに激しさを感じさせるものがあっても、陶酔というより覚醒というか、意識が朦朧とするのではなく、一音に耳を研ぎ覚ませて反応を試みる。そういう風に思った。但し、あえて比べると昨年のスーパーデラックスでの演奏の方が印象は強い。芳垣の持つソロ・パフォーマンス能力は、ピットインよりもSDLX向き。

2ndのセッションは、スクリーンを設置せずにステージ後方の壁に映し出される映像の印象が良くも悪くも強く残る。その色使いのセンスは個人的には好みで、特に中盤で赤色を使い出した辺りからは演奏者よりもその映像を見ている時間が長くなってしまった。これはオレにとっては珍しい。肝心の音の方は、初めて接する事になる曽我の音が気になる。Cinema Dub Monksハナレグミも名前程度しか聞いた事が無かったし、特に興味も無かった。だけど芳垣に選ばれた演奏者である以上、その音が気になる。そしてその曽我の音は、端折って言えばSE(効果音)的なものだった。サンプリング&エフェクターやハーモニカ、スティール・パン、フルート、ウクレレ等を使って色づけをしていく。それがどれだけ芳垣や久美子ねーさんの演奏を刺激したのかわからないけれど、演奏の内容としては攻撃的な刺激とは異なる。これが良いのか悪いのかは、正直言って答えに窮する。だけど、映像と共に2ndセットの印象をかなり持っていったものだし、あの時間をある種の制限みたいなもので捉えれば、面白かった事は否定しない。芳垣と久美子ねーさんは映像や曽我を意識しているのかいないのかわからないけれど、全てがかみ合うでもないところに、逆に全てを意識しているように思えた。

繰返しになるけれど、今回の2ndは今までとは異質だった。あれはあの場所だけでの出来事で、あの時間はあそこに意識が働いたけれど、終演後、外に出るとそれを引きずる事は無かった。完全なるパッケージング。