Hakon Kornstad / Havard Wiik

今年の6月に自らのトリオで来日していたHavard Wiikと、Wibuteeのサックス奏者Hakon Kornstadがデュオというセットで来日。その6月のWiikのライブの印象が良かった事と、『Jazzland Community』に収録されていたKornstadのトラックも悪くなかったので、結構ノルウェーなジャズのライブを見ることが出来た1年の締めくくりという気持ちも含めて昨夜のピットインに行った。この2人で2days行うのだけど、初日の1stはKornstadのソロ演奏、2日目の1stはWiikのソロ演奏という事なので、このプログラムを見たときから両日行くことを決めていた。

1セットをサックスのソロという演奏を見た事が無かったので、個人的に最も期待していたのが初日の1st。使用する楽器として(テナー)サックス以外にフルートネット、メロディカ、エレクトロニクスという表記があったので、サックス一本やりではないという事はわかっていたけれど、それでも管楽器のソロ演奏という事への興味は変わらない。そして実際の演奏は、エレクトロニクスという扱いになっているサンプラーで、(恐らく)リアルタイム・サンプリングしたフレーズをループさせながら、それをバックに演奏するというものだった。ループによって二重奏三重奏のような演奏があったり、別のフレーズで絡んだりする事が出来ていたけれど、正直言って全ての演奏が良かったとは言いにくい。ループがグルーヴする演奏はなかなかいいのだけど、あまりビート感の無いものでは眠気が襲ってきた。こういう演奏、録音物なんかで聴くにはいいと思うのだけど、ライブでは若干厳しい。それと、Kornstadはまだサンプラーというか、エレクトロニクスな音の扱いは発展途上だと思う。ループ以外に多少音をいじっている感じもあったけれど、どうせならもっと奇異な音を挟み込むような場面も欲しかった。セットの終盤、殆どサンプラーを用いずに行った演奏が一番良くて、それは『Jazzland Community』に収録されているトラックと同じタイプの演奏なのだけど、こういうスタイルの方がこの人には向いていると思う。そして1stセットには友情出演という事で八木美知依さんが最後の2曲に加わる。最初の曲はループを活かしたグルーヴィーな音。八木さんもそれに合わせたフレーズを繰返す。次の曲はイントロが八木さんで、空気がセッション風な音に変わる。ここでの八木さんの存在感は流石。

2ndはKornstadとWiikのデュオ。こっちは文句の付け所なし。主導権はWiikにあったと思う。強烈に現代風というわけではなくて、オーソドックスなジャズを聴いているような人達にも受け入れられやすい音。しつこいけれど、藤井郷子と近い感触を受けるWiikのピアノとサックスがユニゾンするところが特にいい。そんな演奏をするのに、演奏前のカウントがかなり独特のタイミングで、それでも殆どずれなく演奏するところにこの2人の力量を思い知る。