Kevin Ayers

オレにとってSoft Machineを知るきっかけは、Robert WyattではなくKevin Ayersだった。Ayersの『Fallin Up』というアルバムを高校生なガキの頃に手に入れて、その後Ayersが在籍したバンドとしてSMを聴く事になった。そのAyersの新作とWyattの新作が同時期にリリースされるという偶然は色々と考えさせるものがある(ホントは何も考えてないけど)。

Unfairground』は『Still Life with Guitar』以来、15年ぶりのアルバム。『Still Life with Guitar』はディスク・ユニオンで手に入れて、その時ミニライブ&サイン会という権利を手に入れ、下北のユニオンでそれに参加した。その時間近で音を聴いて、『Still Life with Guitar』にサインを貰って、握手してもらった事を今でも鮮明に思い出せる。

昔話ばかりになったけれど、『Unfairground』は音楽について色々な事を考えさせると言うより、リラックスして聴く事の出来る作品。全体的に牧歌的だし、60年代のドリーミーなアメリカン・ポップのような曲やフレンチ・ポップな曲もある。そこにAyersのあのアダルトな声がのるのだけど、それが嵌っているようなミスマッチのような感蝕は、風来坊なイメージのAyersが、今ではイビサで気ままに暮らしているという事がそのまま音に現われたものだと思う。









Kevin Ayers 『Unfairground』




風来坊とかいうと地に足のつかない感じがする。そしてすぐにどこかに行ってしまう様な、生来の旅人というか。だけどそれは旅というか旅行が好きってのとは違う。旅行好きっていう人は周りにもいたりするけれど、そういう人達っていうのは割と地に足がついている。足元がしっかりしていて帰る場所が必ずある。そしてその人たちの住んでいるのは地元率が高い。

田舎から東京に出てきたオレは、あんまり旅行というものが好きじゃない。行けば行ったでそれなりに楽しむのだけど、積極的に出かけたいタイプではない。なんでオレはそうなのか?、と考える機会がつい最近あって、それで思ったのは、東京にいるという事がオレにとっては、出かけて行って戻ってないという状態が続いているだけなんじゃないかという事。だからと言ってたまに田舎に戻ってみても、そこは既に自分の居場所のような安堵感は無い。なので『Out to Lunch』ってどこかにかけとこうかと思ったけど、それをかける場所も無いな。