Marcos Fernandes / Bill Horist / K.K.Null

昨日も仕事の時間が終わってから、なんとなくスーパーデラックスのHPを見る。どうもインプロなライブをやるっぽい事がわかる。面子を見る。K.K.Nullの名を発見。Zeni GevaのNullだ。1年前にThe Red Krayola目当てのライブで同じくZeni Gevaのタバタのライブを見た事を思い出す。それは正直つまらなかった。だけどNullはどうなんだろうと思い、行ってみる事にした。共演のMarcos FernandesとBill Horistは見たことも聞いた事もない。1ドリンク付きで¥2,000という弱気な料金設定でわかるように、観客は少ない。最終的に20人に満たない。まあいつもの事。だけど今回はその人の少なさを利用して、普段は東京エール一本やりなオレだけど、美味いと評判のカレーを食す。野菜カレーとキーマカレーがあったけど、ここはオーソドックスに野菜カレー。ライブが始まる前にかきこむには程よい量なのが好印象。味は、、、オレは不味いカレーというものを喰った事がないのでよくわからないけれど、おいしく頂きました。

1stセットはNullのソロ演奏。当然ギターなのだと思っていたら、エレクトリックな卓物のセット。ギターを持ってきてすらいない様子。ちょっと驚く。いつの間にか変貌してたか。そのNullの音はやはりノイジーだけど、意外とリズミックでもある。鍵盤的なコントローラーで音を操作したり、コンタクト・マイク的なものを使ったりしていた。なんとなくトランシーな感じでもあり、テクノ系のフェスにでてもそれなりに受けそうな気がする。

2ndセットはBill Horistのソロ演奏。このHoristという人はアメリカのギタリスト。勿論普通なギターは弾かない。ギターを腿の上に寝かせて弾く。ジェフ・ヒーリーの様な状態と言えばわかってもらえるかもしれない。さらにそこで腕をクロスさせ、右手がフレット側で左手がピックアップ側という状態で演奏を始める。とにかく色んなものをはさんだり置いたりしながらギターを弾く。そういうプリペアド的なものは大友良英や他の人もやるけれど、あんなに多彩に色んなものを使う人は初めて見た。そういう意味で視覚的にも興味深いのだけど、それよりもやはりそこで作られる音楽が重要。で、Horistの音楽は色んな魅力を持っていた。演奏が始まった当初は「なんか『Metal Machine Music』っぽい」と思っていたのだけど、そこから色んな要素に摩り替わっていく。エレクトリックな小物やサンプラーを交えながらの演奏は、エレクトロニカの成分やアフリカンな響のものも取り入れていく。あまり期待してなかったのだけど、この人は今後注目が必要。

3rdセットはMarcos Fernandesのソロ演奏。FernandesはMacを中心としたエレクトリックな音と主に金物のパーカッションを使って演奏。演奏開始がMacから発せられる音で、正直言って「ちょっと飽きるかも」と思った。だけどそこからパーカッションの音を交えて作り上げられる演奏は、Macだけで演奏されるものと違って意外に聴き応えがある。そしてFernandesのパーカッションへのアプローチは現代音楽を演奏するミュージシャン達の様に知性的で、そういう音の響きは予想していなかったので、良い意味で裏切られた。

最後の4thセットは3人によるセッション。この手のセッションでは大体凌ぎあい、ぶつかり合いのカオスティックなものが提示される事が多いけれど、昨夜の演奏はお互いの音を尊重し、同期しようとする場面が多々あって、抑制の効いた演奏だったと言える。それは物足りないという事は全く異なり、こういう音の刺激もあるという事を気付かせるものだった。