Satoko Fujii Special Session

昼間は明るい陽射しもあったのに、昨夜ピットインへ向かう時間にはかなりの冷え込み。それでも11月中はコート的なものを着たくないというわけのわからない考えがあり、めげそうになりながらもピットインへ向かう。

昨夜はSatoko Fujii Special Sessionという名目で、藤井郷子と田村夏樹に加えて、Gato Libreのベース是安則克と、藤井郷子東京オーケストラのドラム堀越彰によるセッション。というより、郷子ねーさんのアコースティック・カルテットと言ったほうが良さそう。

1stセット、まずは田村抜きのトリオ編成で演奏。よくよく考えてみると、藤井郷子トリオのライブを見ていないオレは、実は郷子ねーさんのトリオ編成の演奏を初めて聴いた。フリーなセッションではなく、ちゃんと郷子ねーさんの曲を演奏。曲名を覚えてないところがオレの問題点。まあそれはいいとして、こういう編成は郷子ねーさんのピアノを中心に聴くには適している。先週、高瀬アキの端正な音色を聴いたあとだけに、郷子ねーさんのエッジは効いてながらもジャジーな響きは、意外と人なつっこい感じを受ける。

Gato Libreで良い印象のあった是安。ソロ場面ではアグレッシヴに音を羅列するのではなく、一音の残響を気にするように音を構成。そして時折ハッとする音を入れ込む。このセンスはオレの好きなタイプ。アルコでの音も申し分なく、正直言ってかなり聴き惚れた。

オーケストラでは完全に個性を出し切る事が難しいと思っていた堀越。その力量を知るにはこの編成は向いているはず。ところが正直言って、これといったものはわからなかった。だけどジャジーというタイプではなく、パワーで押し切るタイプでもない。同じ音をしつこく連打する場面があったりして、いくらかその音は耳に残っている。

トリオによる演奏は1曲の構成だけど、予想外に長いもので30分を超えていたと思う。そして田村を加えたカルテット編成で1曲やって1st終了。

1stのトリオ編成の演奏はなかなか聴けないものだった、と考えていたら2ndセットが始まる。このセットではカルテットでセットをフルに使った途切れのない演奏。1stの事を忘れさせるようなその展開にちょっと面喰う。単なるフリージャズとは違う展開でこれだけの時間演奏を続ける事は、録音されたものでも余り聴いた覚えが無い。勿論、終始耳を奪われるような内容だったとは言わない。贔屓目に見てもだれる瞬間はあった。それでも起伏をつけたこの構成に、飽きるという事は無かった。