高柳昌行

井野信義をライブで見たので、この辺で買ったあと放っておいた高柳昌行の『April the Cruellest Month』を聴いてみた。

『April the Cruellest Month』はフリージャズが好きならば誰もが知っている(はず)のESPレーベルからのオファーを受けて作成されたもので、当然そのESPレーベルからリリースされる予定だったらしいのだけど、結局はお蔵入りとなってしまったもの。その後、一度はCD化されていたようだけど、長い事廃盤状態で、それがやっと、Jinya Discからリリースされた。

録音時期としては『侵蝕』と『Axis Another Revolable Thing Vol1Vol2』の間の時期に当るものなので、昨年リリースされたそれらを聴いた立場で言えば、少々マンネリ気味になってしまい、CD-Rのオマケがつくという商売に引っかからなければ、リリースと同時に手に入れるような事はしなかった。そういう本音があったので、これも買って一度聴いてそのまま放っておいた。だけどそのマンネリ感が消えてきつつあるので、改めて聴くには丁度いいタイミングになった。

ニュー・ディレクション・ユニットによるここでの演奏は、一心不乱に音に向かっている様子が生々しく捉えられている。フリージャズが好きならば、このテンションの高い演奏には拒む事の出来ない魅力がある。そしてこの作品を聴いていると、当たり前かもしれないけれど、大友良英が高柳の影響を強烈に受けている事に今更気付く。特に「My Friend, Blood Shaking My Heart」における高柳の演奏と現在のセッション等での大友の演奏は共通点が多く、それを大友自身が気が付いているのかいないのか、拒否したい事なのかそうではないのか知らないけれど。









高柳昌行 『April the Cruellest Month』