Buttercup Metal Polish / Jacques Demierre / 八木美知依

月曜はAXでUAのライブがあったのでそれに行きたかったけれど、体調を考慮して自重。昨夜は鼻水と少しの咳だけだったので、スーパーデラックスに行った。行われたライブはButtercup Metal Polish / Jacques Demierre / 八木美知依によるセッション。八木さん以外は名前も知らないパターン。集客が懸念されるけれど、まあいいと思って行ってみた。

開演が20:00とのことで、その数分前に到着。中に入る。やはりガラガラ。まあいい。座る場所を決める前に東京エールをゲットし、適当な場所に座る。見渡す。出演者の関係者以外のフリーな客は5人ぐらい。まあいい。

Buttercup Metal Polishというユニットが昨夜のメイン。Nicolas FieldとAlexandre Babelというドラム2人によるユニット。スイスの人という事だけど、見た目はアラブっぽい。その2人が並べておいてあるドラムセットに座る。慌ててもう一杯東京エールをゲット。席に戻ると演奏が始まった。

ドラム2人と言う事なので、大体どんな音かの想像は出来る。激しいビートの叩きあいなわけはなく、擦ったり摩ったり当然叩いたり、ビート以外の音を発しながら少しずつ音を上げる。そしてビートが前面にくると、今度はそれをフェイドアウとするように音を静めていく。それがいくらか繰り返され、なんとなく波が寄せては返すような演奏だと思った。それを気持ちよく聴いていると、ピアノのJacques Demierreが演奏に加わる。使うピアノはアップライトで、ハンマーが見える状態になっていた。それを鍵盤に触れずに音を出す。あれはどうなってるんだろう? まあとにかく、その姿はテルミンでも弾いているようでコミカルな印象。だけど音は鋭い。如何にもなフリーの音という言い方も出来るけれど、CDではよく聴いているそういう音もライブでは接する機会も少ないので、結構新鮮な気分で聴けた。2〜30分程度で演奏が終わり、八木さんが加わる。上モノとしてピアノと箏が共演。そういえば初めて八木さんの音をライブで聴いたのは郷子ねーさんとのデュオだった事を思い出す。なんとなく箏とピアノの相性は悪そうなのだけど、結構そうでもなく、ニュアンスの違う音が紡がれていく。音自体はやはりピアノの方が冷たい感触で、八木さんは20弦箏のみを使う展開だったけれど、ガシガシ行くと言うよりは、箏の音色を生かしたフレーズを繰り返す感じだった。

2ndは最初から四者揃い踏み。八木さんは十七弦箏で演奏を始める。そのため、1stには無かった低いグルーヴが出てくる。こうやって改めて聴くと、十七弦箏はやはり音が太い。そうなると益々ピアノの音は冷たく感じられ、その対比がいい。ドラムの2人は1人がビートを刻めばもう1人はさすったり擦ったり揺する方に行く。パーカッシヴという言い方も当てはまるのかもしれないけれど、あまりプリミティヴな印象はなく、この辺はヨーロッパ的な特徴なのかもしれない。このドラムの2人は突っかかる風では無く、あくまでも箏とピアノの音を尊重しているような気がした。当然、PNLの様なインパクトは無いけれど、ガツガツ音が軋むだけが即興の面白さではなくて、それをButtercup Metal Polishは聴かせてくれたと思う。八木さんは途中で二十弦箏に変わる。そこで放つプリペアドな音の響きに相変わらずBaileyを聴いている気分になる。




客は途中で少し増えてたけれど、それでも寂しい状態であった事に変わりは無い。関係者でもないオレがこういう事をいうのはなんだけど、なんかもう少しこういうライブにも人が増えないもんかな。あまり人が入らないと、演奏活動ができなくなるだろうし、そうなるとオレの最大の楽しみが奪われる。居酒屋で酒飲んでグチこぼすのもそれなりに楽しいかもしれないけれど、音楽が好きならば月に一度ぐらいは生音に触れた方が充実するはずなのに。