Otomo Yoshihide's New Jazz Orchestra

久々に当日の投稿。まず今夜のライブに行ったオレのコンディションを。

朝、目が覚めて、喉がいがらっぽい状態であることに気付く。やってしまった。軽く風邪を引いた。いつもは起きた途端タバコに火をつけるのに、それをためらう状態。夜はONJOのライブに行く事を思えば、この状態は辛い。今回のONJOは、明からに音響的なものを強化した音で演奏を行うはずで、そういう状態で客がせきをすると、周りには非常に迷惑。もし朝以上に体調が悪化するようなら、チケットを捨てるしかないと思っていた。だけどなんとか体調も持ちこたえ、開演の少し前にスターパインズ・カフェに到着。大友良英のブログを見ていると、ピットインでの反省で、あまり客をいれずにライブを行うと書いてあったはず。しかもスタンディングで聴くようなモノではなくなったという事を意識して、なるべく座って聴ける状態を考えているとの事だったので、座れなくてもそんなに厳しいスタンディングにはならないと思っていた。



が、



大間違い。



結局スタンディング側はピットインの時と変わらない状態。それでもオレには多少の視界はあったけれど、オレの近くにいた女の子達は全然視界は無かったはず(カヒミのファン?)。そんな状態でも頑張って聴いていた様だけど、不憫な気持ちになった。そしてライブは、やはり音響的と言える展開。それにもかかわらず、やたら何かをガサガサする客が近くにいて、聴いている側の集中力が途切れる。しかもそいつはその周りにかなり迷惑な状態だったようで、近くの奴がガン飛ばしていたのを見たのだけど、結局その後何かあったわけでもないようで、立ったままな上に不快な気分でライブを見ているのを見て不憫な気持ちになった。

オレも残念ながらあまりカヒミが視界に入らず、それでも山本精一という強烈な個性を眼で追っていたのだけど、期待した様な音は聴く事が出来ず。最後まで頑張ってライブを見ていたけれど、帰りは足がパンパン。何故か風邪のほうは大丈夫で、帰るまでせきも治まっていた。

ま、こういう日もあるという言い方もできるのだけど、やはり大友良英がブログに書いてあった事を思えば、ここは不満をハッキリ書いておこうと思った。当日券を30枚出せるとか書いてあったのも今日の状態を作った一因だし。

オレのようなファンは放っておいてもライブに足を向ける。だけど、今回たまたま来て、あの状態で立ったままライブを見なければいけなかった人達は、次回足を向けるかどうか疑問。なるべく人をつめる事で利益を得たいのはわかる。そうしなければ、死活問題になることも理解している。だけど、それならばなるべく座れる状態を作るというような事を誰もが目を通せるブログに書いてはダメだ。本当は気になる音も聴けたのだけど、それを書く気になれない状態になった事が何よりも残念。

もう一つ、CDを4組買えばオマケのCD-Rをつけるというやり方も疑問。何かリリースされれば目ざとくそれを購入しているオレとか、今更物販で買うものはない。先に買っている人は損をした気分になる。CDを多々買う人というのは、ある程度コレクター的な性格を持っている。だからこういう事をされると、何か不誠実と思うのはオレだけだろうか?




※以下の追記は10/14に書き直した。



思い直したので音についての感想も少し書いてみる。

新たな方向に進み始めたというONJOだけど、8月のピットインでのライブから津上研太が脱退という事態になってしまった。山本精一がそれを埋める為に加わったのか、元々予定していたのかわからないけれど、そういう事を考えてしまうのは仕方がないはず。オレは元々ONJOにはあまり惹かれるものが少ないと感じていたのだけど、久々にピットインでのライブを見て、それでスターパインズのライブも見る事にしたわけで、それには津上の存在は大きかった。大友良英がコンダクターとしてのポジションが重要なバンドである為、最も前に出る音は津上の音だったはず。それに変わるのは、同じサックス奏者の大蔵雅彦かと思ったけれど、結果的には津上のポジションはマイナスされ、そこを大友ないし山本がそれぞれのやり方でスペースを使っていたと思う。山本に関しては正直言って、あの過激な音を自由に出す場面が与えられる事を期待してのだけど、ジャジーなプレイに従事していた印象が強い。大友は、今までオレが聴いたONJOで最もその音を前面に出していたと思うけれど、フリーキーという程にはならない。多分それはONJOのコンセプトでもあるから、そこに文句は無い。だけどやはり、津上の不在は気にかかる。彼がピットインで発していた音は、ONJOの編成の中で最もジャズのイメージに近い楽器でありながら、ジャズを意識させなかった。それはオレにONJOへの興味を向ける事に大きく関与していた事を痛感したライブだった。

だけど、今の状態の次のステップに興味が無いわけではない。こうなってしまった以上、逆にカヒミの声と宇浪拓の音は今までよりも重要になったと思う。特に宇波の音は今までよりもオレの印象に残り、こういう音を活かせる大きな編成のバンドは他には考えにくい。



しつこくなるけど、スターパインズで余り余裕の無い状態でONJOの音を聴いたという事への感想を付け加える。シーティングになっていたフロアは地下2階になると思うけど、そこは地下1階があるために吹き抜け状態になっている。立見する場所は低い位置に天井があることになるのだけど、恐らく音の伝わり方が座席側とは異なってしまう。その為か、8月の印象ほどリズム隊(特にベース)と笙の音は感じられなかったし、他の音も柱の位置関係なんかを考えれば、違ったものになっていた可能性がある。勿論他のハコでも場所によって音が異なるという事はあるけれど、スターパインズはそれがより強く出る場所じゃ無いだろうか? ONJOの様に音の鳴りそのものが重要なバンドとしては、あのハコが向いているとは考えにくい。

そして、立って聴く、座って聴くという違いを考えてみると、例えばロック系のライブを立って聴く事には何の不満も無い。それどころか、座って聴かなければいけない状態の時の方がキツイ。ロックを聴いていれば、否が応でもリズムをとりたくなり体が動く。そういう時は座っているよりも立っているほうがいい。だけどリズムを追う音楽では無い場合、それに付け加えて大きな音で演奏を表現しない場合というのは、他者の余計な音が気になるし、自らもそうならないように気を使う事になる。それは結局直立不動な状態で演奏を聴く事になり、だから体への負担が大きくなる。そして結局、演奏を聴く事への集中力は落ちる。それは昨年ピットインでONJOを聴いた時にも感じた事だったし、それを今回、またしても味わう事になってしまった。