Carlinhos Brown

Marisa Monteなんかと同じ様に、現在のブラジルのポピュラー音楽シーンの重要人物とかいわれているのがCarlinhos Brown。パーカッション集団のTimbaladaを率いる人でもある。ソロ・デビュー作の『Alfagamabetizado』が高い評価を受け、それから興味を持って聴いている人だけど、この人の音を聴くたびに、ブラジリアンの持つセンスの高さに舌を巻く。こういう音を聴くと、日本とかアメリカのポピュラー音楽シーンの酷さ、特にヒットチャートものの下らなさは目に余る(勿論一部にはいいものもある)。それでもアメリカはまだ歌手に力量があるからマシだけど、日本の売れている歌手やバンドの歌は聴いている方が恥ずかしい。ブラジルと比べれば大人と子供の差。そんな子供な歌を聴いている日本の大人。だから30過ぎても、平気で電車の中で漫画読んだりゲームしたりする。

話がずれた。Carlinhos Brownの新作『A Gente Ainda Nao Sonhou』は今年の夏前にリリースされていた。だけど気分じゃなくて、暑い間に耳にする回数は多くなかった。だけどこの時期、もう夏とは言えないこの時期に聴くとスッとはまる。

歳を重ねて当然の様に音がこなれてきたせいか、意外と思わせる音は少ない。元々は的外れだったはずの音がすんなり溶け込んでいて、初期に比べれば刺々しさみたいなものを感じることは無い。ブラジルよりもキューバを思わせるものや、ブラジリアンにしか出せないと思えるサウダーヂ感。軽く聴いていると雰囲気ものであり、カフェ音としても機能する。だけどここに何が差し込まれて何が抜き取られてきたかに気付くと芳醇な音であることもわかるはずで、ポップスという言われ方をする音楽は、その軽薄なイメージとは異なった刺激的な音を持っている事を嗅ぎ取れる。









Carlinhos Brown 『A Gente Ainda Nao Sonhou』